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18年版「ブラック企業大賞」発表 大賞は三菱電機 長時間労働が常態化、過労自殺が2件発生「市民投票賞」はセクハラ問題の財務省(2/2 ページ)

» 2018年12月23日 15時55分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]
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「市民投票賞」は財務省

 「市民投票賞」を受賞した財務省では18年4月、福田淳一事務次官(当時)がテレビ朝日の女性記者に対し、取材中に「抱きしめていい?」などのセクハラ発言を行っていたと報じられた。その後、同省の顧問弁護士もセクハラがあったと断定した。ただ、福田氏は事務次官を辞任したものの、セクハラを否定。麻生太郎財務大臣も「セクハラという罪はない」「男を番記者にすればいい」などと発言し、事態を軽視していることをうかがわせた。

「有給ちゃんと取らせま賞」はジャパンビバレッジ東京

 「有給ちゃんと取らせま賞」を受賞したジャパンビバレッジ東京では今夏、ある支店の支店長がクイズを出し、正解者のみに有給休暇の取得を認める“有給チャンス”と呼ばれるパワハラを行っていたことがネット上で話題になった。「事業場外みなし労働時間制度」を違法適用しており、社員に月間100時間を超える時間外労働を課していたことも発覚した。

 ブラック企業大賞の発表会見には、同社の従業員が匿名で登壇。「問題のメールを送った支店長は、部下を蹴るなどの暴行を日常的に行っていた。支店長とは別の管理職も、ミスをした社員に腕立て伏せをさせるなどの罰を与えていた」「結婚・出産といったライフイベントの際も有給休暇を取ることができない」などと告白した。

photo ジャパンビバレッジ東京の親会社による“有給チャンス”問題の謝罪文

ブラック企業大賞のイベントをやらなくていい時代にしたい

 18年のノミネート企業は受賞した4社のほか、スルガ銀行、モンテローザ、ジャパンビジネスラボ、ゴンチャロフ製菓、野村不動産を含む9社だった(関連記事)。

 ブラック企業大賞企画委員会の担当者は「本当はこのようなイベントをやらなくてもいい社会になってほしいが、やらざるを得ない状況だ。今後もこの取り組みを続け、ブラック企業をなくしていきたい」と話した。

過去には電通などが受賞

 ブラック企業大賞は12年にスタート。長時間労働、セクハラ・パワハラ、いじめ、低賃金――などの観点から、弁護士やジャーナリストなどで構成される企画委が各賞を選考している。

 歴代の「大賞」は、東京電力(12年)、ワタミフードサービス(現ワタミ、13年)、ヤマダ電機(14年)、セブン-イレブン・ジャパン(15年)、電通(16年)、アリさんマークの引越社(引越社グループ、17年)。

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