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» 2019年01月18日 08時00分 公開

ホリエモンが政治家に頭を下げてまで「子宮頸がんワクチン」を推進する理由守れる命を守るため(2/6 ページ)

[今野大一,ITmedia]

「エセ科学」大国ニッポン

 今でも水素水とかエセ科学的なものはいろいろとありますよね。日本には意外とそういうのを信じてしまうところがあって、「ちょっとした科学の知識があればそういうことにはならないのにな」と思っていました。それで科学技術を取材するメディアを始めたのです。

 その中で、胃の中にいるピロリ菌と、胃がんとの関係について論文を書き、因果関係を証明した上村直実先生にインタビューをする機会がありました。そしたら先生に「胃がんの99%はピロリ菌が原因なんです」と言われました。そのときは正直、「えー!!! 知らなかった!!!!」と素直に思ったのです。実はこれ、本当の話なのですよ。

 胃の中は酸性なんですよね。酸性の環境の中に、ピロリ菌という細菌がいるのです。なぜならピロリ菌はアルカリ性の物質を出して環境を中和できるからです。pH(ペーハー)2ほどの強酸性の胃の中で、アルカリ性の物質を出すことによって生きられる環境を作り出しています。それまでは胃の中に細菌がいるなんてことは信じられていなくて、1983年にオーストラリアのある大学教授が発見するまで誰も発見していませんでした。正確にいうと発見はしていたのに、顕微鏡の写真に写っているものを「これはゴミだ」とみなが思い込んでいたのです。

 誰もそれが細菌だとは思っていなかった。それをオーストラリアの西のはずれにあるパースにある大学の教授が見つけました。「これはすごい悪さをする細菌なんじゃないか」と考えて、調べ始めた。ピロリ菌を見つけたときに彼は何と、自分でどんなものなのかを確かめるためにそのピロリ菌を飲んでしまいました。そしたら胃炎になってしまった。

 これが契機となってパースの大学教授は本当にピロリ菌を同定し、その後ノーベル賞を取ったのです。その意味でピロリ菌は83年に「再発見」されたのですよ。つまり一度は発見されていたのに、誰も気が付かなかったために「再発見」されたのです。

 そして胃がんとの関係を上村先生がなぜ研究したのかというと、実は東アジアのピロリ菌は東アジア以外のものと比べて悪性度が7〜8倍高く、がんになりやすいのです。だから日本人は昔から胃がんが多かったわけです。オリンパスが内視鏡を発明したのは恐らく必然です。日本人に胃がんが多かったから、日本の企業のオリンパスが内視鏡を発明したのだと思います。欧米のピロリ菌はそこまで悪性度が高くないので、胃がんの発生率は日本人や韓国人と比べるとかなり低いのです。

phot

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