ヒトオシ
ニュース
» 2019年01月21日 07時00分 公開

没入感が違う:「こんな接客は嫌だ」をリアルに体感 そごう・西武がVRのマナー教材を開発したワケ (1/4)

そごう・西武が社員研修事業に進出する。VRを使って“最悪の接客”と“適切な接客”を体験できるコンテンツを開発した。新規事業立ち上げの苦労とは?

[昆清徳,ITmedia]

 2018年12月、そごう・西武は企業向けにVR(仮想現実)を使った接遇マナー教材を販売すると発表した。百貨店で培った接客ノウハウを、研修用VTRやマナー講師による研修ではなく、VRで提供するというユニークな試みだ。

 デモ用に開発した教材の内容は、顧客の目線に立って“最悪の接客”と“適切な接客”の両方を体験できるというもの。シナリオもさまざまな企業へのヒアリングを通して作りこみ、利用者に強いインパクトを与えるようにしてある。

 なぜ、このような研修事業を立ち上げようと考えたのか。商事事業部ブランドマーケティング部企画担当の若尾康司氏に話を聞いた。

photo 商事事業部ブランドマーケティング部企画担当の若尾康司氏

実際にVRを装着してみた

 そごう・西武が開発したVR教材はどのようなものだろうか。VRヘッドマウントディスプレイの内部には研修用のコンテンツが内蔵されているので、頭に装着すればそのまま視聴できるようになっている。誰でも気軽に利用できるようにするためだ。

 デモ用のコンテンツは約13分の構成になっている。本体を装着すると、教材の利用方法について1分間のレクチャーが行われる。その後、前半のコンテンツが6分、後半のコンテンツが6分という構成になっている。

 記者が実際に視聴してみた。コンテンツの中身は簡単に説明すると次のようになる。小学生の子どもがおり、中学受験対策のために塾を探している母親が主人公だ。本体を装着した利用者は、この母親の目線に立つことになる。

 母親は事前に電話をして、実際に塾の様子を見学したいので、後日訪問する旨を担当者に伝える。ドアを開けて、学習塾の受付に向かうところからストーリーは始まる。

 コンテンツの前半では、“最悪の接客”が展開される。例えば、母親が事務所に入って声をかけても、男性の塾講師と女性事務員はおしゃべりに夢中で、全く気付かない。また、事前に訪問する旨を伝えているにもかかわらず、女性事務員には適切な引継ぎがされていない。さらに、男性の塾講師は母親の声に耳を傾けようとはせず、塾のアピールを延々と続けるといった具合だ。度重なる“無礼”な対応に母親の「イライラゲージ」がどんどんたまっていく。堪忍袋の緒が切れた母親が「この塾には絶対に子どもを通わせない」と決意するまでの流れが体験できる。

photo 前半のコンテンツでは、女性事務員と男性の塾講師による「感じの悪い」対応が体験できる

なぜ、「感じが悪かった」のか

 コンテンツの後半では、同じ舞台で役者も同じだが、“適切な接客”が体験できる。女性事務員の言葉遣い、髪形、爪の色も母親に好感を与えるものになっている。記者個人の感想としては、“最悪の接客”と比較することで、信頼される接客の在り方がより理解できるものだと感じた。この感想を若尾氏に伝えると「近年、アクティブラーニングという考え方が注目されています。これは、学ばされるのではなく、自発的に問題点に気付いたほうが学習効果が高いというものです」と教材開発の狙いを語った。

 また、前半のコンテンツで、女性事務員に対して「なんとなく感じが悪い」と思った理由を尋ねると、「顔に髪がかかっているので、表情が伝わりにくいためです」と教えてくれた。確かに、後半のコンテンツでは、女性事務員は髪を後ろに束ねており、表情の変化が分かりやすかった。これも、百貨店で培ったマナーの知見を反映したものだという。

photo 後半のコンテンツでは「感じの良い」対応がされる
       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

職種特集

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -

Digital Business Days

- PR -