――由来が分かっていないのは驚きました。個人的には、欧米から入ってきたのかと思っていましたが……。
村山さん: 欧米では3回以上、そこそこ多い回数のノックをしてから入室するケースがあることは確かですが、日本がその流れをくんでいるのかは定かではなく、諸説あるのが現状です。誰かが決めたというわけでもありません。
トイレで2回ノックをするのは、「不注意などで体がドアに触れたのではなく、中に人がいるかどうか確かめていますよ」という意図を相手に伝える目的があります。ビジネスシーンでは、確認ではなく敬意を込めていることを示すために、1〜2回の追加が求められているのだと考えています。
――マナーに敏感で、ノック回数を気にする人は、どんな年齢層に多いのですか。私は10年ほど前にアルバイト先で、50歳前後の上司に叱られた経験があるのですが。
村山さん: 現在、マナーに関する意識の高い人は年齢を問わず存在する印象です。バイト先の方のように、「2回のノックはNG」と考える層に不快な思いをさせないためにも、ノックは3〜4回するのがベターです。
――ノック回数だけでなく、「コートを着たまま屋内に入るのはマナー違反」という説をよく耳にします。私は特に理由を知らないまま、取りあえず守るようにしているのですが、どうお考えですか。この説にも賛否両論あるようですが。
村山さん: はい、コートは外で脱ぐべきだと思います。コートには、ほこりや花粉などの汚れが付着しているので、その状態のまま室内に持ち込むと不快に感じる方がいらっしゃるためです。外で汚れをはらった上で、コートの裏地が表に出ている状態でたたみ、手に持ってから入室することをお勧めします。外の汚れを中に持ち込まないようにするためです。
特に昨今は、花粉症に悩み、花粉がひどい時期には洗濯物を外で干せない人も出てきています。コートのマナーには、そういう人に対する気づかいの意味もあります。
――なるほど……。そんな意味があったとは。このほかにも「暑くても、商談中などにジャケットを脱ぐのはマナー違反」という考え方も議論を呼んでいますが、いかがでしょうか。
村山さん: ジャケットを着用するのがビジネスシーンでの正しいマナーなので、私は脱ぐのを控えた方がいいと考えます。室内がよほど暑かったり、先方から「よかったらお脱ぎください」という一言があったりしない限りは、ジャケットを着た上で面会してください。
――確かに、夏場は空調が効いた部屋に通してもらうケースがほとんどなので、あえてジャケットを脱ぐ必要はないようにも思えます。
村山さん: そうですね、基本的にはジャケットを着たままにし、あとは相手の対応に合わせるといいでしょう。
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