東京マラソンの最大の功績は、トップアスリートだけのスポーツだったマラソンを、カジュアル化・庶民化し、走ることへの特別感を持たせることに成功したことだといえるだろう。その市場を作り上げたキーマンの早野氏が、昨年11月に、陸連とともに、新たなプロジェクト「JAAF RunLink」(後援:スポーツ庁/経済産業省 協力:一般社団法人 日本経済団体連合会)を発表した。このプロジェクトについて、早野氏はこう説明する。
「陸連は、これまでの競技陸上に力を入れてきましたが、それに加えて、全ての人が陸上競技を楽しめる環境をつくるという『ウェルネス陸上』の理念を掲げました。JAAF RunLinkはその理念を実現し、2040年までにランニング人口を2000万人にしようとする大きなプロジェクトです。市民マラソン大会の統括・支援、個々人のライフスタイルに合わせたランニングを楽しめる環境・機会を提供していきます」
具体的にどんなサービスを提供するのかを尋ねたところ、主に3つの視点でサービス展開を考えていると言う。
1つ目は、マラソン大会に対して、統一の基準を設け、ラベリングを提供していくサービスだ。例えば、AED(自動体外式除細動器)はきちんと設置しているか? 給水はどのようになっているか? といったように、安全性・サービス・社会貢献度の3つの大項目に評価基準を設け、それぞれの大会をABCでランク付与していく。ランナーたちが、安心してマラソン大会を選択できるようにする狙いがあるのだろう。
2つ目は、ランニングデータのプラットフォームを構築しようというものだ。これまでマラソン大会は、大会参加前にランナーが自己申請で提出したタイムを元に、ランナーのスタートポジションを決定していた。しかし、誤った申告が多く、衝突事故を起こすなどの危険を伴っていた。今後、RunLink加盟大会では、大会記録の提出を義務付けて、ランナーのタイムを一元管理する。また、ランナーは、そのデータベースにアクセスすれば、過去の記録を参照できるようになるなど、快適なランニングサービスを提供していく意向だ。
そして3つ目は、全国のマラソン大会を統括するスケールメリットを生かして、大会や企業に対して、付帯サービスを提供していくというものだ。データプラットフォームの構築により、2000万人のランナー情報が集まれば、多くの企業にとって、重要なマーケティングデータになる。この情報提供を含めた権利と引き換えに賛助会員を募って、RunLinkを媒介としたパートナー制度を構築していく意向だ。
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