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» 2019年03月01日 07時45分 公開

「内省と対話」を繰り返して得たもの:麻布、東大、興銀……エリートコースをあえて捨てた男の仕事論 (5/6)

[森永康平,ITmedia]

どんな時代も自分を鍛えるだけ

―――現在、Yahoo!アカデミアで社内外の人材をリーダーにすべく活動されています。ビジネスパーソンの多くが、規模の差はあれど、いずれリーダーのポジションについていきますが、伊藤さんの考える「リーダー」の定義を教えていただけますか?

 リーダーには2つ意味があると思っています。それは「組織を導く人」と「自分自身をリードする人」。後者がまず先に来るべきなんですね。自分が熱狂しているからこそ、周りがついてくる。これは興銀の時のストーリーと同じです。熱狂しているということは、言い換えれば自分自身が導かれている状態なんです。だから、Lead the Peopleの前にLead the Selfができないと。

 じゃあ、どうすればLead the Selfができるようになるかっていうと、「汝自身を知れ」ってことなんです。自分自身を知ればLead the Selfができるようになる。もう少し細かく言うと、まず内省して自分の過去を振り返る。過去の積み重ねが現在で、現在の自分が未来ではどうありたいかを考える。でも、自分で考えるだけだと難しいので、ひたすらオープンになって対話を繰り返す。

 私も悩みをオープンに同僚に打ち明けて対話したからこそ、MBAという話が出てきたんです。一流のリーダーはどう行動するか、とか、どういうリーダーが支持を得られるか、という一般的なリーダー育成論ではなく、「上が言っているから行くぞ!」じゃなくて、「オレがこう思うから行くぞ!」みたいな熱狂をもとに動けるリーダーシップを身につけてほしいです。

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――― 5月1日から元号が変わり、新たな時代が幕を開けます。平成の30年間でビジネス環境は大きく変化しましたが、ポスト平成時代はもっと変化が激しくなると思いますか? また、新たな時代を生き抜くために、ビジネスパーソンは何をすればいいのでしょうか?

 これからもビジネスシーンは変わりまくりますよ。これまでの30年間はインターネットの発展がありましたけど、これからはAI(人工知能)。データがたまりまくって、AIが今以上に賢くなる。10年から20年までの10年間でインターネットの情報は40倍になるといわれているんです。IoT(モノのインターネット)の発達によって、これまでは入手することのできなかったようなデータまでもがインターネットを通じてたまっていく。そうやってデータが膨らんでいって、AIがディープラーニングをして賢くなっていく。

 世間で言われているように、AIが奪っていく仕事というのはたくさん出てきます。そうなると、人間にしかできないことが重要になってくる。しかし、現在の教育はそういう能力を鍛える内容になっていないと思います。つまり、何かを構造化する能力や、考え抜く能力を鍛えるカリキュラムじゃないんですね。

 作業的なモノはロボットを用いて業務を自動化するRPA(Robotic Process Automation)とかどんどん自動化されていっちゃうので、そういう能力がない人とある人の格差が生まれていきます。そして、アーティスティックな感覚はすごく重要になってくるんです。そういう感覚がない人は仕事がしづらくなる世界になっていってしまう。

 じゃあ、どうすればいいんだ、という話ですが、答えはシンプルで、自分を鍛えるしかないんです。実はインターネットやAIの登場に影響されることなく、今も昔もそこは変わっていないんですよね。過去の自分が現在の自分を作り、現在の自分が未来へと導くわけですから、目の前の仕事に全力で取り組み、それと同時に自分を鍛え続ける。何も特別なことをする必要はありません。

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