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» 2019年03月05日 08時10分 公開

スピン経済の歩き方:セブンのバイトが、ファミマのおにぎりを売るのはどうか? 24時間営業を続ける方法 (3/5)

[窪田順生,ITmedia]

宅配業界で共有化の動き

 ビックカメラやベスト電器の携帯売り場を見ると、ドコモ、au、ソフトバンクなど各社の携帯端末がそれぞれ並べられて、それぞれが契約カウンターを持っている。携帯電話というインフラであれが可能なら、同じくインフラを標榜するコンビニがやっても問題ないのではないか。

 というようなことを言っても、「店舗の共有化」などあり得ないと思う方が、世の中の大半だろう。

 「コンビニは各社でさまざまなオペレーションをしていて、それぞれが高度にシステム化されている。1つの店舗で共有することは難しい」「FCオーナーに対してもきめ細かなサポートやアドバイスをしているセブンが、他社と同じ店舗で協力などするわけがない」――。なんて感じで、専門家や業界の方からダメ出しが寄せられていることだろう。

 ただ、少し前までは「そんなマンガみたいな話はあり得ない」「バカも休み休み言え」と専門家から鼻で笑われていたことが、人口減少によって当たり前のように行われてきている、という動かしがたい事実もあることを忘れてはならない。

 その代表が、宅配業界での共有化の動きだ。ご存じの通り、宅配クライシスによって、宅配会社同士の協力・連携が加速している。

 ヤマト運輸と佐川急便の間で、宅配ロッカーの共同利用が進んでいる。また、共同配送も着々と進んでおり、タワーマンションや住宅街などの場合、各社バラバラで配達するのは効率が悪いということで、共同配送が進んでいる。

 また、大都市間の荷物を移動させる共同輸送の検討も始まっていて、2017年には東名高速で、ヤマト、佐川、日本郵便などが、実証実験を行なっている。さらに、すでに僻地へ荷物を輸送する場合、乗合バスなどの公共交通機関に、ヤマト、佐川、日本郵便などの荷物が相乗りしている。

 だが、少し前はこんなことをやったら、社内はもちろん、宅配ビジネスの専門家から「バッカじゃねえの」と大ブーイングが寄せられたはずだ。ライバル同士でインフラを共有することなど、「あり得ない話」だったのだ。

 例えば、今から12年前、ヤマト運輸と西濃運輸が、共同出資の物流会社を設立すると発表した。今の感覚ならば、「ふーん、そういうこともあるんじゃない」くらいの話だが、当時は業界に衝撃を与えるニュースだった。

 『ヤマトは宅配便サービスでは自前でインフラを整備し、市場を開拓するスタイルを堅持してきた。今回の提携について社内からは「ヤマトのやり方ではない」との異論が出た』(日本経済新聞 2006年2月28日)

 宅配業界は価格もサービスも絶対王者ヤマトの「やり方」に右へならえでやってきた。つまり、このタイミングまで、ライバル同士の協力は鼻で笑われる愚策だったのだ。

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