インタビュー
» 2019年03月20日 08時00分 公開

“売れない魚”の寿司が、なぜ20年も売れ続けているのか水曜インタビュー劇場(ふぞろい公演)(5/6 ページ)

[土肥義則,ITmedia]

未利用魚を使った寿司店が増えないワケ

土肥: 未利用魚を使った寿司が売れている――。となれば、他の寿司店でも同じようなメニューがあっても不思議ではありません。でも、定番メニューとして扱っているところは、ほとんどないですよね。

朝山: やりたいと思っていても、できないのではないでしょうか。理由は2つあって、1つは手間がものすごくかかるから、もう1つは頻繁にケガをするから。

 1つめの手間がかかることについて、ご説明しますね。例えば、カンパチをさばくことになったとします。大きめのカンパチであれば、5分ほどで200貫分ほどつくることができるんですよ。

 一方で、10センチほどのクロムツを扱うことがあるのですが、小さいので作業に5〜10分ほどかかる。それなのに、1匹で2貫分ほどしかつくることができない。同じ時間、いや、それ以上の時間をかけて作業しているのにもかかわらず、少ししかつくることができない。大きな魚を扱うほうが効率がいいのですが、ウチは小さな魚も扱っている。だから、手間がかかるんですよね。

土肥: なるほど。

朝山: もう1つのケガについて。例えば、アイゴという魚をさばく場合、ヒレに毒があるので、取り扱いに注意しなければいけません。一度、ヒレの針が指に刺さったことがあるんですよね。ものすごく痛くて、ものすごく腫れました。

 アイゴ以外にも毒をもっている魚は多くて、そうした魚を扱っていると、頻繁にケガをしてしまうんですよね。ということもあって、多くの職人さんは「危険な魚は扱いたくないなあ」と感じているのではないでしょうか。

土肥: 手間がかかって面倒、ケガをするので危険。にもかかわらず、なぜ20年も続けてこられたのでしょうか?

朝山: おもしろいからですね。面倒で、ケガをする。それでもヘンな魚をさばくのはおもしろい。おもしろく感じているのはワタシだけでなく、魚を送っていただいている関係者も同じ気持ちかもしれません。自分が送ったヘンな魚をどのようにしてさばくのか。こうしたことに興味があると思うので、送られてきた魚については、ネット上にアップしているんですよね。

 写真だけでなく、「こんな魚が届きました」「このようにさばいていますよー」といったコメントを付けて紹介しています。そうすると、先方はものすごく喜んでいただける。「また、送りますね」と言ってくれることも。

土肥: きちんとフィードバックしているわけですね。

京山の朝山議尊社長

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