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» 2019年03月25日 07時00分 公開

元日銀マン・鈴木卓実の「ガンダム経済学」:ハマーン・カーンの栄光と凋落に見る組織運営の要諦 (6/6)

[鈴木卓実,ITmedia]
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人材育成に失敗したハマーン

 現場の全てを把握できない以上、ハマーンは部下に作戦を委任することになる。プリンシパル=エージェント問題(プリンシパルの委任を受けたエージェントが自分の利益を優先してしまうこと)は情報の非対称性から生じることがあるが、必ずしも適任者を監視役に据えることができなかった。軍制下の独裁政権であるため、効率性や個人の才能を重視し過ぎて、原理原則やルールを順守するタイプの人材育成が間に合わなかったのだろう。

 ハマーンの凋落(ちょうらく)はあっという間だった。地球連邦政府の政治家にまで影響力を持つに至るも、監視役ごと部下のグレミーに裏切られ、ネオ・ジオンは分裂。ジュドーに討たれることとなる。

 トップがどんなに優秀であっても、部下を御し得なければ組織は崩壊する。辺境ながらも資源豊かで、地球連邦軍が容易に攻められないアステロイドベルトに潜んで入念な準備を重ね、時流に乗って地球圏を席巻するも、最後は人に恵まれなかった。

 「天の時は地の利に如(し)かず 地の利は人の和に如かず」と孟子に言う。己の能力を過信したハマーンは、享年22歳という若さだった。

著者プロフィール

鈴木卓実(すずき・たくみ)

たくみ総合研究所・代表。エコノミスト、睡眠健康指導士。ガンダムと同じ年齢(1979年生まれ)。新潟生まれ仙台育ち。仙台育英学園高等学校出身。地元での仮面浪人を経て、慶應義塾大学総合政策学部を卒業。2003年、日本銀行に入行後は、産業調査や金融機関モニタリング、統計作成等に従事。2018年より現職。経済家庭教師や各種セミナー(個人向け、企業向け)、経済・金融や健康リテラシー向上のための執筆、アドバイザーなどを通じて情報発信を行う。楽天証券トウシルにて「数字でわかる。経済ことはじめ」、東洋経済オンラインにて「あの統計の裏側」を連載。ビデオニュース・ドットコム「マル激トーク・オン・ディマンド」(第929回)へ出演。


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