連載
» 2018年12月10日 07時30分 公開

元日銀マン・鈴木卓実の「ガンダム経済学」:ジオンとその系譜に見る、「国力」とは何か? (1/5)

我々はしばしば「国力」という言葉を使う。国力とは、GDPといったフローの経済指標だけでは測れず、保有する資源や資産というストックも含めた、広い概念なのだ。そこで今回は、ガンダム作品の敵役であるジオンとその系譜を題材に、国力について考察する。

[鈴木卓実,ITmedia]

 ガンダムの世界を舞台に、現実の経済学や歴史などを用いて解釈、分析する連載「ガンダム経済学」。回を重ねるごとに、思わぬ場所で読者とお会いすることができ、賛否両論、叱咤激励などさまざまなご意見・ご感想をいただく。筆者にとっては望外の喜びである。

 まれにアニメのBlu-ray Boxやガンプラを衝動買いしてしまった、といった類の苦情をいただくが、筆者の原稿料もバンダイ、サンライズの売り上げに消えており、お互いさまということでご容赦いただきたい。

 本執筆中に、“動く”実物大ガンダムや、「閃光のハサウェイ」を三部作で映画化するニュースがリリースされた。「ガンダムは、日本が世界に誇る最強のアニメコンテンツ」(林文子横浜市長)。他を圧倒する息の長い訴求力を持っており、ガンダムは伊達じゃない。

18メートルの実物大ガンダムが動く「ガンダム GLOBAL CHALLENGE」プロジェクト(出典:公式サイト) 18メートルの実物大ガンダムが動く「ガンダム GLOBAL CHALLENGE」プロジェクト(出典:公式サイト

 おっと、つい熱くなってしまった。さて、今回そして次回は、ガンダム作品の敵役であるジオンとその系譜を題材に、「国力」について考察しようと思う。

地球連邦軍とジオン軍

 ガンダムの登場は、ジオン公国と地球連邦政府の間で勃発した、後に「一年戦争」と呼ばれる戦争を契機としている。一年戦争は、スペースコロニーに居住するスペースノイドの自治・独立を要求したジオン公国が、地球連邦政府に宣戦を布告したことに始まる。

 短期決戦を企図したジオン軍は、人型機動兵器モビルスーツ(MS)を実戦投入。開戦当初こそ、地球連邦軍の宇宙艦隊を軸とした大艦巨砲主義をMSの機動力で圧倒し、地球、そして幾多のスペースコロニーに甚大な被害をもたらしたが、作戦の要となる「コロニー落とし」で地球連邦軍本部ジャブローを破壊することには失敗する。

ジオン公国の国旗=『機動戦士ガンダム THE ORIGIN VI 誕生 赤い彗星』より ジオン公国の国旗=『機動戦士ガンダム THE ORIGIN VI 誕生 赤い彗星』より

 国力に劣るジオン軍は決め手を欠き、一方、地球連邦軍は戦力の立て直しに迫られているという膠着(こうちゃく)状態の中で実戦投入されたのが、地球連邦軍の最新鋭MSガンダムである。

 ガンダム1機でジオン軍MSザクを100機撃墜したと喧伝されるほどの活躍もあり、宇宙世紀0079年1月3日に開戦した一年戦争は、同年12月31日に最終決戦を迎え、翌0080年1月1日は地球連邦政府とジオン公国から政治体制を移行したジオン共和国との間で終戦協定が結ばれる。文字通りの一年戦争であった。

 一年戦争はジオン公国の敗北に終わったものの、地球連邦軍とジオン軍に連なる後継組織との戦闘が、「機動戦士ガンダム」(宇宙世紀0079年)から最新作である「機動戦士ガンダムNT」(宇宙世紀0097年)へと続くことになる。

 ガンダムに詳しくない読者のために、主な作品と勢力の対立関係をまとめると以下のようになる。

       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -