報告書には非常にまどろこしい表現が繰り返されているのですが、シンプルな結論を言いますと、「会社員」はなくなるのです。
「法人の顔は残すけど、胴体はその都度とっかえひっかえするから、胴体として使ってもらうために自分でスキルアップしてね!」と言っているのです。副業容認、フリーランス、リカレント教育などは、全て“そこ”に向けたプロセスです。
会社側は「長時間労働」も「非正規」という雇用形態もない「働かせ方」を進めますが、それは「長時間労働がなくなる」という意味でもなければ、「非正規という不安定な雇用形態」がなくなるわけじゃない。全てが「自立」という美しい2文字を脅迫的に使うことで、まやかしの「光」が待ち受けているのが「令和の時代」です。
人類が他者との協働作業で生き残ってきた歴史を鑑みれば、どこでも自由に仕事ができる時代になるからこそ、「会社」というコミュニティーと、職務保証を大切にすべきですし、「個」を強要する時代より、「個」を引き出す社会へ。依存を否定する社会ではなく、依存の先の自立を促す社会を目指すべきです。
その全てが「人の生きる力の土台」なのに、それをなくす方向に日本は進んでいます。
なんだか平成の終わりに、混沌とする新時代を予測するコラムになってしまいましたが、少しでも「豊かな時代」になるようなコラムを今後も書きつづりますので、お付き合いくださいませ。
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。
研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)、『面倒くさい女たち』(中公新書ラクレ)
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