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» 2019年04月29日 08時05分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:新型プジョー508は魅力的だが…… (1/4)

PSAグループのプジョーが新型プジョー508を発売。デザインとハンドリングに集中して開発を行うことで、カッコよく走って楽しいクルマを目指した。一方で、選択と集中の結果、犠牲になったものもいろいろとある。

[池田直渡,ITmedia]

 3月20日、プジョー・シトロエン・ジャポンは、プジョーブランドのDセグメントセダン、新型プジョー508を発売した。

窓の下端のラインが前後に伸びやかにつながり、そこに小さなグラスエリアが乗るという古典的クーペの手法で構築されるスタイリング。側面のプレスラインはドア部の厚みを消すための造形

 さて、いきなり書き手を悩ませる問題がある。プジョー自身はこの新型508をなんとサルーンの新概念だという。ボディはハッチゲートを持つ5ドアだが、運転席はともかく、リヤシートは身長168センチの筆者でも深く掛けると頭が内装に触れる。いわゆる欧州に古くからあった、4人の大人をしっかり乗せ、さらに荷物の出し入れの実用性を備えた生活道具としての5ドアハッチバックではない。リヤシートが大人には使い物にならない代わりに、流麗なファストバックスタイルを手に入れている。

 新概念という断り書きがあるとはいえ、リヤシートの居住性が無いクルマをサルーンとかセダンとか呼ぶのは気が引ける。パッケージ的に検分すればこれはクーペの亜種だ。古典的プロトコルにのっとればクーペは2ドア。セダンは安物を除いて4ドア。欧州では、大衆的モデルにはラゲッジの実用性に振った5ドアハッチバックは多くの先例があるが、プレミアムなものは4ドアセダン。大原則はそうなっている。だからこれはそういう旧来ジャンルのどれにも入らない。

 面倒なことに、昨今そういうお約束がどんどん崩れており、ダイムラー、BMW、アウディのジャーマン3あたりでも、もはやそういうセオリーを無視したモデルがポコポコと生み出されている。

 プジョーの言い分によれば、新型508はそういう古典的しがらみから解放された新しいパッケージだという。3月に来日したプジョーCEOジャン-フィリップ・アンパラト氏の説明によれば、プジョーの戦略は、選択と集中。あらゆる項目にリソースを配分したバランスの良いクルマを目指すのを止めて、魅力の訴求をデザインとハンドリングに集中しようとしているのだという。要するに乗って楽しく、見てカッコいいクルマに特化して勝負をするつもりだ。

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