そうしたら自分がいかに非人間的な生活をしていたかを痛感し、深く反省。と同時に、自分自身の中で「遊び」がなくなっていたことを痛感し、自分が気付かないうちにイライラしていた、自分が気付かないうちに余裕がなくなっていた、自分が気付かないうちに可能性を狭めていた、と感じました。「今ある仕事をきちんとやり続けるには、もっと遊びを大切にしなきゃ」と煩雑な日常に戻った今、自分に言い聞かせています。
そして、「ものづくりニッポン」とかつて世界から称賛された日本が世界に後れを取り、生産性が下がっているのも「遊び」がなくなり、働く人たちが「労働の奴隷」に成り下がってしまったことによるものだと確信しています。
「新しいものっていうのは、長年作り続けたり、研究し続けたりしているうちに生まれる。それなのに、今の職場は長期雇用が保証されていない、契約社員が増えてしまいました。上はマーケットリサーチを徹底しろと言うけど、それでは既存の概念から抜け出せないんです。
新しい発想って、仕事の合間に『ちょっとこれやってみようかなぁ』なんて、自分で遊んでいるうちに出てきたり、仲間たちとワイワイたわいのない話をしている時に浮かんだりするものなんですよね。その小さな発見が仕事のやりがいにもつながるんです。
でも今は、短期間で結果を求められますから、どうしたって精神的にも肉体的にも、ギリギリになる。会社はメンタルを低下させる社員が出るたびに、コミュニケーションをもっと密にしろと言いますが、時間的余裕のない職場で、どうやってコミュニケーションを増やせというのでしょうか。今の現場は、負の連鎖に入り込んでいるように思えてなりません」
これは、インタビューに協力してくれた、自動車部品メーカーに勤める男性が話してくれた“ものづくりの現場のリアル”です。
新しいことは遊びから生まれる――。男性と同様の意見は、これまで何人ものものづくりの現場の方たちから聞かされてきました。
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