気になるのはやはり営業利益のマイナス12.9%だが、ホンダの説明によればこれは欧州の生産体制変更の影響であるとのことだ。工場の閉鎖に伴い設備投資を一気に償却しなければならないことに加え、休止中の労務費負担もある。これがホンダの説明通りであれば、利益率のダウンはあくまで一過性の問題ということになる。
為替の影響と欧州の生産体制変更など一過性の影響を除くと、実質的には増益だとホンダはしている
確認のため19年度の見通しを見ると、市場の冷え込みによって売り上げの見込みはマイナス1.2%ながら、営業利益はプラス6.0%を見込んでいる。つまりマーケットの見通しは次年度厳しくなるが、それでも本年度の一過性のマイナス影響が消えることでプラスを予想できるということになる。もしこれがマツダや日産のような販売促進費の高騰によるものであれば、次年度にプラスの見込みは立たないはずなので、一応筋は通っている。
全体的には妥当な決算であり、特に今後足枷(あしかせ)になりかねない英国とトルコの工場を、早期に切除しつつ、営業利益率を4.6%というラインで踏みとどまらせたことは評価に値すると思う。
ホンダの19年度業績見通し
- 英国工場閉鎖を決めたホンダの狙い
2月19日、ホンダは記者会見を開き、事業運営体制に関する2つの発表、「二輪事業の組み替え」と「英国とトルコの四輪生産工場を閉鎖」を行った。この狙いとは?
- 見えてきたホンダのMaaS戦略
ソフトバンクとトヨタ自動車が共同出資して立ち上げたMaaS企業「MONET」に、ホンダが資本業務提携する。同時に、MONETは88社が参加するコンソーシムも立ち上げた。なぜオールジャパンのコンソーシムが必要なのか。またホンダの狙いはどこにあるのだろうか。
- 完敗としか言いようがない日産の決算
ズタズタの決算内容だった日産。一つの要因は、北米で販売促進費用(インセンティブ)をつぎ込んで売り上げを伸ばそうとしたことにあるのではないか。対策として、22年にはモデルラインアップの半数を電動化車両にするというがバッテリー供給は大丈夫か。20車種の新型を出すというのも、短期間で作られる新車は大丈夫なのか?
- マツダの決算 またもや下がった利益率の理由
売上高は増収だったが利益面の落ち込みが激しいマツダの決算。北米と中国市場の不振が響いた結果だ。今後に向けて、販売店改革とパワートレーンの刷新を進めるが、これが北米市場で実を結ぶかどうかが焦点となる。
- 71億円の減益ながら表情の明るいホンダ
大型連休前にホンダの決算発表会が開催された。営業利益は8335億円で、前年度に比べて71億円のダウンとなった。しかし会見に臨んだ倉石副社長の表情は明るい。質疑応答では笑顔を見せる局面もあった。
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