インタビュー
» 2019年06月21日 05時00分 公開

循環型経済の構築:Appleのどこまでも本気な環境への取り組み (1/6)

循環型経済の構築に向けた取り組みが評価され、Appleが環境省から表彰された。Appleで環境・政策・社会イニシアチブ担当副社長を務めるリサ・ジャクソン氏に話を聞いた。

[林信行,ITmedia]

 読者で知っている人がいたらぜひ教えてもらいたい。以下で述べるApple以上の取り組みをしている企業があれば、ソーシャルメディアなどを通して教えてほしい。

 6月17日、Appleが環境省に表彰された。

 G20で「持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合」で共同議長を務めた原田義昭大臣からの表彰状を受け取るために、Appleの環境・政策・社会イニシアチブ担当副社長であるリサ・ジャクソン氏が訪日した。

 Appleが受賞したのはこの日発足した「CEチャレンジ」。同省が日本全体で循環型経済(Circular Economy)の構築を推進するため、先進的な取り組みをする企業を表彰すべく立ち上げた賞だ。

 CEチャレンジはApple以外にも2社が受賞している。2030年度までにペットボトルの100%有効利用を目指したことで表彰された全国清涼飲料連合会。そして、プラスチック製レジ袋の使用量ゼロや、食品廃棄物のリサイクル率70%を目指す姿勢が評価されたセブン&アイホールディングスだ。

CEチャレンジ発足式で表彰されたAppleのリサ・ジャクソン副社長

 だが、Appleの目標は突出していた。

 「将来的に再生可能な素材とリサイクルされた素材のみを使って製品を作る」――つまりこれ以上、地球の資源を採掘せずにものを作るという取り組みだ。家電メーカーに知り合いがいる人は、その会社でも同様のことができそうかを聞いてみてほしい。それと同時に、現在どれくらい製品の再利用が進んでいるのかを。

 Appleは2016年に「Liam」(リーアム)を発表した。これは回収プログラムで集めた中古のiPhoneを分解するロボットだ。その後、より多くの機種に対応し、機械学習で進化する分解ロボット「Daisy」(デイジー)も登場した。1時間当たり200台のiPhoneを分解するこのロボットは、15モデルにおよぶiPhoneの分解に対応している。

1時間に200体のiPhoneを解体するロボットのDaisy

 こうして集めたリサイクル素材の活用も進んでいる。最近発表されたMacBook Airは、100%リサイクルアルミでできている。また、iPhone XRやXSではメイン基板にリサイクルのスズ、スピーカーにリサイクルプラスチックを使用。地球の資源を無料(タダ)だと思って、無尽蔵に使い続ける姿勢に一石を投じている。

アルミのリサイクルも進んでいる

 環境問題に取り組む人たちの間では「ゆりかごから墓場まで」(from Cradle to Grave)という言葉をもじって、「ゆりかごを次のゆりかごに」(from Cradle to Cradle)という言葉が広く使われているが、Appleは毎年iPhoneだけでも2億台近くを出荷するという大量生産のビジネス生態系で、まさにこれをやってのけようとしているのだ。

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