もちろん、いくら資源の再利用を進めたとしても、大量生産は大量生産であり、大規模のビジネスを営んでいると、電力をはじめとして大量のエネルギーを消費し、これが二酸化炭素を排出する。ひいては既に深刻になりつつある気候変動をも加速させる。だが、この点についてもAppleはさまざまな施策を打っている。
実は「CEチャレンジ」で表彰されたリサ・ジャクソン副社長は、その足で大手町のサンケイホールに移動し、JCLP(日本気候リーダーズ・パートナーシップ)の会合で「100%再生エネルギー活用」に関する基調講演を行った。
JCLPは「脱炭素社会」への移行をビジネス視点で捉える団体で、イオンやオリックス、富士通、LIXILなど104社が加盟しているが、Appleは2018年末、その最初の海外メンバーとなった。
ジャクソン氏は「最初の海外メンバーになれたことを誇りに思う」との切り出しで講演を始め、Appleで再生可能エネルギーの利用がどのように広まってきたかを振り返った。
最初は24時間稼働で消費電力も大きいiCloudなどのサーバ施設を太陽光発電などでまかなうことから始めた。その後、完成したApple Park(アップル本社)や新しい直営店の天井に太陽光パネルを設置し、発電量を増やしていった。
その後、他社から買い取った再生エネルギーなども合わせて2018年までに43カ国に点在する340のオフィスと506の直営店の全てを100%再生可能エネルギーで運用する目標を達成している。
だが、これが終わりではないとジャクソン氏は続ける。Appleの事業がきっかけで発生する二酸化炭素には「製造過程や商品の流通、消費者による利用、そしてリサイクルの過程での排出も含まれる」というのだ。
特に大きいのが製造工程で、Appleのカーボンフットプリント(CO2に換算した温室効果ガス排出量)全体の74%を占める。そこで近年取り組んできたのが、Appleに部品や組み立てサービスを提供するサプライパートナーに向けた再生可能エネルギーの利用促進だ。
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