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Appleのどこまでも本気な環境への取り組み循環型経済の構築(4/6 ページ)

» 2019年06月21日 05時00分 公開
[林信行ITmedia]

副社長は元米国環境庁長官

 Appleはどうして、自社の利益を越えた視点で環境事業に取り組めるのか。その答えこそが、先ほどから登場しているこのリサ・ジャクソン副社長だ。

 彼女はもともとバラク・オバマ氏が米国大統領だった時代に、米国環境庁の長官を務めた経験もある人物で、地球環境の改善に関しては常に真剣に取り組んできた。ティム・クックCEOがその姿勢を買って、彼女のためのポストを新設してまでAppleに呼び寄せた人物なのだ。

ティム・クックCEOも環境問題に真剣な人で、だからこそリサ・ジャクソン氏を起用した。トランプ大統領がパリ協定からの離脱を表明した時はTwitterで強い批判を行った

 環境問題に真剣に取り組むとなると、ビジネスの営み方、パートナーの選び方、製品の設計やデザイン、部材の調達など、事業の全ての領域に深く関わる必要がある。そのためジャクソン氏のチームは、全ての部署をまたいだクックCEO直轄の部隊として動いているという。

 もともと政府高官ということもあり、そのやり方は非常に戦略的だ。JCLPのメンバーに加わったこともその1つ。日本国内で再生可能エネルギーの利用を広めたくても、Appleという海外企業が1社で声を発するだけではなかなか届きにくい側面がある。そこで今後はこのJCLPという団体を通して声を発していこうと考えているようだ。

 また、Appleのサプライヤー企業が環境配慮型への事業転換を進めようとしても、それが規制などによってうまくいかないこともある。そうした場合も、団体を通して政府機関などに働きかけていくことができる。

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