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ホリエモン出資のロケットを開発、インターステラ稲川社長が目指す夢「早期に小型衛星ビジネスに参入」夢は続いていく(2/3 ページ)

» 2019年07月06日 05時00分 公開
[中西享, 今野大一ITmedia]

「ハンバーグ搭載」だけじゃない

――商業化するビジネスについてはどのようなものになるのですか?

 観測ロケットによるものが柱となります。具体的には、あまり報道はされませんでしたが、2号機に搭載した高知工科大学の研究室による観測機器があります。低周波の音が、高い高度でどのように伝わるのかを観測する「インフラサウンドセンサー」や、高い高度の大気の状態を調べるとか……。無重力の状態の中で実験をしたいという大学教授もいて、そういう方が顧客の一部になります。また、既に実施した「相模原名物とろけるハンバーグ搭載」のように、宇宙に行くこと自体に意義を持たせるという方法もあるかもしれないですね。

――稲川社長は開発コストを抑えるために、ロケットの部品を秋葉原やホームセンターで買う姿がメディアでも取り上げられています。技術開発に関してはそういったコスト削減の方法を続けていくのですか?

 コストを徹底的に抑えながらも、やはり「設計」が大事なのです。ロケットのエンジン、電子部品、発射場はどうしてもお金が掛かります。だから、この3つをいかに安くしていくかが大切になります。

phot 高知工科大学の観測機器「インフラサウンドセンサー」(上)、「相模原名物とろけるハンバーグ」(下)
phot MOMOでは何ができたのか?

採用も増やす

――大型ロケットを作るとなると優秀な技術者を集めなくてはならないかと思いますが、社員の採用についてはいかがですか?

 新たな開発に向けて人員も増やす方針で、採用は強化したいと考えています。いまは、従業員は23人ですが、ライバルのロケットベンチャーを見ますと、50〜100人規模になってきています。彼らに負けないように優秀な人材を国籍に関係なく採用していきたいと考えています。

――ISTのロケット発射場がある地元の北海道の大樹町については?

 実は大樹町は30年前から宇宙の町にしていこうと、町ぐるみで動いていました。当時、スペースポート(宇宙基地)が北海道の東側にできるという米国のSF小説があったそうで、そこから発想を得て、大樹町の町長や企画担当者がまだ何もないときから「宇宙の街にしよう!」と言い始めていたのです。だから発射場や打ち上げ施設など宇宙関連施設の誘致活動をしていました。

 そうしたことが縁でISTとしては大樹町に本社と、発射場を設けることになりました。いまではJAXAの気球を打ち上げる施設も同町にあります。その後も強力に応援をしてもらっています。さきほど申し上げた『ふるさと納税』を使ったガバメント・クラウドファンディングも作ってもらい、開発資金として使わせてもらい、同町には本当に感謝しています。

phot 大樹町は30年前から「宇宙の町にしていこう」と町ぐるみで動いていた
phot 歴代のロケット

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