長谷川: LIXILに行って、岩崎さんが力を入れていることってなんですか?
岩崎: まず、外から来た人の価値って、違う世界を見せられることですよね。ITに関しては、LIXILはあらゆるものを持っているんです。ただ、もう一歩ですごく便利な世界に行けるのに使いこなせていないという面がある。これは知識と経験の問題です。製造業は製造することが主流であって、ITはそれを回すための役割りでしかなかったから、仕方ない面もあって。
ただ一方で、それは知ってもらうためのチャンスでもあるから、今は地方行脚で国内の工場を回って、エンドユーザーの困っていることを教えてもらいながらコミュニケーションを取ることに力を入れています。時間はかかりますけど、地道にやっていくしかないです。われわれは7万人いるので、この底力はヤバイです。これだけのレバレッジをどう利かせるかという楽しみは、Web系にはないですよ。
長谷川: 伸びしろがいっぱいあるわけだ。
岩崎: 例えばGoogleのG Suite(グループウェア)を使って複数の人が同時に書類を編集できるところを見せたりしたら、「え! これいいですね!」という反応が返ってくる。Workplaceも、部下とのコミュニケーションに悩んでいた人なんかが積極的に使い始めたりしています。彼らは変化を嫌っているわけではなくて知らないだけなんです。
長谷川: なるほどね。今、チャットツールとして一番使われているのはWorkplaceなんですか?
岩崎: そうですね。全員がアカウントを持っているので。あとはIT部門の中だけでSlackを使ってます。それも最初は、みんなの頭の上にハテナが百個くらい浮かんでいるような状態でしたけど(笑)、今は前向きに使ってくれてます。
長谷川: 鬼の形相で「使え!」って言ったんじゃない?
岩崎: いやいや、笑顔で優しく説明しましたよ。初めは管理職だけに使ってもらったんですけど、お年を召されている方でも意外と絵文字アイコンを押すんですよね。
長谷川: ああ、あれはポイントかもしれないね。
岩崎: Workplaceもそうなんですけど、僕はみんなに「なるべくアイコンを使おう」と言ってます。ああいうのがあると、メンバーとの距離感をだいぶ詰められるじゃないですか。いかに気軽にツールを使える空気感をつくるかが大事だと思うので。
長谷川: 僕らもSlackが好きだから、これからは勤怠とか経費精算とか人事関連の申請とか、全部Slackでできるようにしようと思ってます。
岩崎: 僕も同じことを言ってますよ。全ては「Slackで完結」だと。
長谷川: やっぱり! そういうコミュニティーを立ち上げましょうよ。
岩崎: いいですね。
長谷川: 全てをSlackで完結する会、今日、発足です(笑)。
(後編に続く)
LIXIL IT部門 基幹システム統括部 統括部長 兼 システムインフラ部 部長。2018年6月、LIXILに入社。ベンチャー企業にて会社立ち上げや事業立ち上げを複数経験後、楽天、リクルートテクノロジーズ、DMM.comなどで情報システム部長やアーキテクトとして従事。LIXILでは国内グローバルを含めたインフラ・情報セキュリティ・コーポレートIT領域の責任者として次世代化・基盤強化・グローバルシナジー強化を推進。2019年7月より3領域に加えLIXIL国内グローバルを含めた基幹システム全体(SoR)を統括。合わせて日本やグローバルで稼働中の基幹システム刷新プロジェクト(SAP・S4/HANA化)の責任者としてLIXILのIT改革を幅広く推進。また、日本で最大規模を誇るエンジニアリングコミュニティー、日本ネットワークオペレーターズグループ(JANOG)のコミッティーメンバーでもある。
1994年、アクセンチュアに入社後、国内外の小売業の業務改革、コスト削減、マーケティング支援などに従事。2008年、東急ハンズに入社後、情報システム部門、物流部門、通販事業の責任者として改革を実施。デジタルマーケティング領域では、Twitter、Facebook、コレカモネットなどソーシャルメディアを推進。その後、オムニチャネル推進の責任者となり、東急ハンズアプリでは、次世代のお買い物体験への変革を推進している。2011年、同社、執行役員に昇進。2013年、ハンズラボを立ち上げ、代表取締役社長に就任。東急ハンズの執行役員と兼任。AWSの企業向けユーザー会(E-JAWS)のコミッティーメンバーでもある。2018年10月から現職。
ホスト:長谷川秀樹
執筆:やつづかえり
企画協力:酒井真弓
企画・編集・マッチメイク:後藤祥子(ITmedia ビジネスオンライン編集部)
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