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LIXILのIT部長が“真逆の世界”で見たもの――「Webベンチャーの最先端」は、伝統的な製造業で通用するのか長谷川秀樹の「IT酒場放浪記」(2/3 ページ)

» 2019年07月25日 08時00分 公開
[やつづかえりITmedia]

Web系ベンチャーから大手製造業へ。意外とギャップがなかった!?

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長谷川: 楽天、リクルート、DMMで、仕事の内容は違うんですか?

岩崎: 基本的に同じようなものです。上に乗っているサービスはそれぞれ異なりますが、インフラエンジニアのミッションは、基盤を作って、いかに安定的に運用するかということなんですね。ちょっとミスした日には全部のサービスが止まってめちゃくちゃ怒られるという、あまり報われない職種です。

 でも、いかに格好良く止めずにやるかというチャレンジに目覚めたのは楽天でした。もともとそういうプロフェッショナルのエンジニアが多かったので学びもあったし、逆に自分がやってきたことが通用するところもあったのがうれしかった。そういう意味で、今でも残っているのは楽天の人脈なんですよ。

 LIXILに来たのも、楽天からMonotaRoに行って、今はLIXILのIT部門でB2Cシステム部の部長を務める安井卓さんがきっかけなんです。

長谷川: なるほど、そういうつながりなんですね。

岩崎: MonotaRoを創業した瀬戸欣哉さんがLIXILに移った後に、安井さんもLIXILに移り、インフラができる奴が必要だから、ということで呼ばれました。3回ぐらいやんわり断っていたんですけど根負けしたんです。

 当時、情報システム本部長だった小和瀬浩之さんと3人で飲みに行ったり、今の上司である金澤さん(金澤祐悟取締役専務役員)や瀬戸さんとお話して、“この会社は本気で新しいことをやろうとしている”ということが分かりました。

 DMMほど楽しい会社はなくて、辞める理由はなかったんです。でも、もっと大きなチャレンジをさせてもらえる環境があるのならと、ワガママを言わせてもらいました。

長谷川: なるほど。DMMから伝統的な大企業に行ってみて、どうですか? 僕は逆で、大きな東急グループからメルカリに来て、その違いに強烈な衝撃を受けたんですけど。

岩崎: 僕も、すごく違うだろうと思ってたんですよ。とにかく「早くやった者が勝つ」という、いい意味でなんでもありのWeb系ベンチャーのノリでやってきたので、大企業のIT部門なんて来たら毎日、発狂ものかなと(笑)。でも、それは思い込みでした。

長谷川: そうですか。

岩崎: 例えば今、Workplace(Facebookのビジネス版)が全社に導入されているんですけど、役員の方々も積極的に情報発信しています。それに対して全従業員が「いいね」を押せるし、コメントも自由に書けるという状態が、どんどん広がっているんです。

長谷川: それはいいですね。Workplaceは全社員が使えるんですか? ライセンス料を計算したら、すごいですよね。

岩崎: 全社員です。結構、英断だと思いますよ。そういう決断ができる会社だから、僕にもできることがあるんじゃないかと思ったんですよね。製造業の割には――という言い方もなんですが、変化できるのがLIXILの強さだと思います。

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