ビジネスパーソン向け入門Libraの第4回は、Libraに関わる法律問題と、各国の懸念をお伝えする。ブロックチェーン大学校FLOCが主催した、ブロックチェーン技術の専門企業コンセンサス・ベイスの志茂博CEOの講演から。
Facebookが6月にLibraを正式発表してから、世界各国の政治家や金融当局が懸念を表明している。国内でも、日銀の黒田総裁は会見でLibraについて問われ、次のように話した。
「暗号通貨は、支払い決済手段として価値を本当に安定させることができるのか。技術上の安全性、安定性が確保されるのか。マネーロンダリング対策など関連する諸規制への対応が十分になされるか。どのようなものであれ、暗号資産が支払い決済手段として人々の信任を十分に確保し得るのか、決済金融システムにどのような影響を及ぼし得るのか。内外の関係当局とも連携しながら、動向を注意深く見ていきたい」
「ビットコインのときはそんなに言われなかったのに、Libraには、国とか金融規制当局が『あれはまずい止めろ』という話になっている。一番気にしているのは、金融の安定に影響がないかということ。金融政策に影響を与えると困る。それからアンチ・マネー・ロンダリング(AML)とプライバシーだ」(志茂氏)
AML対策として、LibraはCalibraにおいては本人確認(KYC)を必須にするといっているが、ウォレット単位での話であり、Libraブロックチェーン全体としてはKYCが必須になっているわけではない。また「国際的にKYCの枠組みが違う」(志茂氏)のも課題だ。ゆるいKYCを行っている国でウォレットを作り、国内でも利用できてしまう可能性がある。
このKYCへの対応を考えると、喧伝されているほどたくさんのユーザーが利用するわけではないともいえる。「Facebookのサービスを利用している27億人が使い始めるといわれるが、利用できない国がたくさん出てくる可能性がある。また、Facebookサービスで使うにはKYCが必要だが、果たしてみんながKYCをやるか」(志茂氏)
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