単なる決済手段としてだけでなく、ハウスプリペイドをマーケティングに活用する動きも始まっている。これまでハウスプリペイドを発行する際には、住所や名前、年齢などの個人情報を集め、マーケティングに活用する場合もあった。しかし、郵便を使ってダイレクトメールを送ったり、メールアドレスを取得して広告メールを送ったりしても、ほとんどユーザーにリーチしなくなってきていると林氏は言う。
代わって利用が進みつつあるのがスマホアプリだ。LINEに友達登録してもらい、そのデータとハウスプリペイドをひも付けることで、CRM(顧客関係管理)に活用するとともに、LINEを使ったプッシュ通知というリーチ手段を使う。また、いきなりステーキのように店舗独自のスマホアプリを用意して、ハウスプリペイドと連携させて使うところも出てきている。
スマホアプリと連携が進むと、当然次に出てくるのが物理的なカードを持ち歩かなくても、チャージ済みのバリューを使い、スマホアプリから決済をしたいという要望だ。この場合、最もシンプルなのはスマホアプリにバーコードを表示して、POSで読み取り、決済を行う方法になる。結果、カード側にもバーコードを印刷して、それを読み取る形が増加してきている。
ハウスカードの導入が飲食業界から小売業界にシフトする中で、もともとレジでバーコードリーダーを使っている小売との相性がいいことも後押ししている。
従来ハウスプリペイドは、薄いペラペラのカードや、クレジットカード型の磁気ストライプ型が多く、ドトールのように非接触型ICチップタイプに進化してきた。しかしここに来て、印刷されたバーコードが再評価されているのは、スマホ決済の流れにも似ている。
「各社一斉にキャッシュレス決済を導入し、軽減税率制度の対象にもなる。各店舗が横並びだ。では、自社の競合優位性を高めるために、ハウスカードはどうですか?」。林氏がこう説明すると、どうせキャッシュレス対応でPOSレジの改修を進めるなら、同時にハウスカードも発行しようか、となるようだ。
キャッシュレス決済には事業者に支払う決済手数料がつきものだが、クレジットカードの手数料は2〜3%と小売店には重い。ハウスプリペイドは1〜2%とクレジットカードよりも料率が低く、その点も評価されている。
◯◯Payや共通ポイントサービスなどが経済圏を拡大させようと、さまざまなキャンペーンを繰り広げているが、ハウスプリペイドはダークホースとして存在感を増していくかもしれない。
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