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Slackで老舗出版社の業務はどう変化したか 文春オンラインの情報共有術業務を効率化するITツールの最新事情(2/2 ページ)

» 2019年09月06日 07時00分 公開
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時間や場所を選ばず、PCやスマホでリモートワークを実現

 次の事例はハフポスト(Huffington Post)日本版だ。ユースケースとしてはリモートワークにSlackを活用する事例で、Webニュースサイトの記者がコンテンツ更新にあたって、日々の業務連絡からネタ出し、作業分担、執筆した原稿のやりとりまで、全てワークスペース上で行うという。

 ハフポスト日本版副編集長の泉谷由梨子氏は、2015年の入社後に長女を出産して育休を取得。出産から4カ月で仕事に復帰し、時短勤務を続けていたが、その最中に副編集長へと就任している。時短勤務を続けながらも必要な業務をこなす必要があり、それを実現していたのがSlackというわけだ。

ハフポスト日本版副編集長の泉谷由梨子氏
泉谷氏のプロフィール

 メディア業界における副編集長職とは、主にコンテンツのディレクションや記事チェックなどのデスク業務が中心となる。ハフポスト日本版における記事の掲載フローについては測りかねる部分があるが、基本的には取材ネタや企画を出し合いつつ、ゴーサインで複数の案件を走らせ、掲載前の原稿をチェックして掲載許可を出す流れが基本と思われる。

 この際、大事なのはスピード感で、ハフポスト日本版もWebメディアである以上記事の鮮度は重要であり、可能な限りの早いレスポンスが求められる。つまり、常に編集部の動きや外部のニュースに目を走らせておく必要があるわけだ。

 朝から晩まで編集部に張り付いていれば問題ないが、今回の泉谷氏は時短勤務の最中であり、オフィスに顔を出していないタイミングでも、ある程度の対応を求められる。基本は前述のようにSlack上でやりとりが行われており、PCやスマートフォンなどその時々でデバイスを使い分けることで、必要な業務をこなしている。

普段の編集部員とのやりとりの様子
帰宅後の編集部とのやりとりの様子
1日の行動フローの例。細切れの時間であってもうまく活用できるのがSlackのメリットだという

 ある意味でシンプルな事例だが、少なくともWebニュースを運営できるだけの情報共有はSlack上で行えることの証左になっている。また、デバイスを選ばないという特性も大きく、(今回は子守タイムでのスマートフォン活用だったが)ケースによっては、PCを広げられない飛行機や電車での移動中でも素早いレスポンスが可能になる。今回取り上げたのはSlackを導入したメディア業界の事例だが、引き続き、ITツールを駆使した業務効率化を紹介していきたい。

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