25年前に生まれた「inゼリー」は、なぜ過去最高を更新したのか水曜インタビュー劇場(10秒公演)(5/6 ページ)

» 2019年10月09日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

“迷子”になったユーザーが続出

針ヶ谷: 次のステップを目指すのに、新しいコンセプトを掲げなければいけない。という課題を感じていたので、発売20周年のタイミングで、大リニューアルを行いました。パッケージのデザインを大きく変えて、コンセプトをカロリー軸に置くことに。

 会社としてはたくさんの資金を投資したので、「これはいけるぞ!」「失敗は許されない」といった雰囲気が漂っていました。しかし、数カ月後に売り上げの数字を見て、「あれ、なにかが違うぞ」「ヤバいのではないか」といった状況になりました。6カ月経っても、売り上げはどんどん落ちていく。対前年度10%減になったタイミングで、「もうこのままではダメだ」となって、1年後に元のコンセプトに戻しました。

土肥: 一体、何があったのでしょうか?

針ヶ谷: デザインを大きく変えたことで、どうなったのか。多くのリピーターが「あれ? いつもの商品はどこに行ったの?」といった具合に、“迷子”になっていました。あと、コンセプトをカロリーに変えたのですが、これもうまく伝わりませんでした。消費者からは「カロリーが大きく表示されているけれど、それって自分の生活にどのように役立つの?」など厳しい声がたくさんありました。

土肥: たった1年で元に戻すのは、ちょっと早くないですか? もう2〜3年待ってみてもよかったのでは?

針ヶ谷: 売り上げが200億円を超えているということは、対前年度比10%減で20億円規模を失うことになりますよね。何も手を打たなくて、売り上げが減少するのは理解できても、アクセルをベタ踏み状態で走行していたのに、結果がともなわなかった。このことに大きな衝撃を受け、再び元の形に戻すことにしました。

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