土肥: ドリンクタイプのモノを九州でテスト販売したけれど、結果はいまひとつ。この反省を生かして、94年にゼリータイプを開発したわけですが、取り扱い場所を見ると、スポーツ用品店やフィットネスジムばかり。以前と同じように閉鎖的な環境なので、あまり普及しなかったのでは?
針ヶ谷: 実は、そこにちょっと面白いエピソードがありまして。
土肥: 自らハードルを上げて大丈夫でしょうか? (笑)
針ヶ谷: 大丈夫です! 当初、スポーツ用品店とフィットネスクラブを中心に販売していたわけですが、たまたま某大手コンビニのバイヤーさんがこの商品を目にして、「これ、とてもいいですね。ウチで販売させてください」といった話をいただきました。そこで、当社はどのような対応をしたのか。「いや、ちょっと無理です」とお断りました。ただ、そのバイヤーさんはものすごく熱心に、「ぜひ、お願いします」と何度も声をかけてくれまして。「そこまで言っていただけるのであれば」ということで、テスト販売することになりました。
土肥: 多くのメーカーは「自社商品をコンビニの棚に並べたい」と思っているのに、なぜそんなに消極的だったのでしょうか?
針ヶ谷: 先ほども申し上げたように、アスリート向けに開発した商品なので、「一般の人にはウケない」と思い込んでいました。ただ、そのバイヤーさんは「この商品は、水分が不要ですよね。持ち運びも便利ですし、一般の人にも支持されますよ」と言ってくれました。
で、いくつかの店で販売して、結果はどうだったのか。東京の代官山にある店で、売り上げがものすごくよかったんですよね。なぜ、その店は好調だったのか。代官山には、情報感度の高い人がたくさん住んでいる。inゼリーがどういった商品であるのか、きちんと情報を把握してから購入してくれたのではないか。こうした背景があると考え、「この商品がどういったモノなのか。きちんと伝えることができれば、他のエリアでも売れるのではないか」と仮説を立てました。
考えてみれば、なぜゼリーを飲まなければいけないの? なぜスパウト付きアルミパウチなの? なぜエネルギーなの? など分からないことだらけ。情報感度の高い人にどうやって伝えていけばいいのか――。この課題を解決すれば、inゼリーは普及するのではないかと考えました。
なぜ? という疑問に対して、分かりやすい答えがなければいけない。そこで「10秒でとれる朝ごはん」というコピーを考えました。
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