25年前に生まれた「inゼリー」は、なぜ過去最高を更新したのか水曜インタビュー劇場(10秒公演)(2/6 ページ)

» 2019年10月09日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

ドリンクタイプを九州でテスト販売

土肥: ロングセラー商品というのは、一般的に売り上げを伸ばすのが難しいですよね。時代の変化に対応するのが大変で、「現状維持がやっと」といった声が多い中で、inゼリーの売り上げを見ると、2018年度に過去最高を更新しました。その要因をお聞きする前に、この商品はそもそもどういったきっかけで開発を始めたのでしょうか?

針ヶ谷: 国内外で活躍するアスリートを支援するために、何ができるのか。行動を起こすことで、知識や技術などの知見をためることができるのではないか。ということで、1973年に健康事業部を立ち上げて、商品開発に取り組みました。

 新商品を開発するにあたって、「ああでもない、こうでもない」といった感じで議論を重ねて、最終的に「飲料」に決めました。体を動かすエネルギー、体のコンディションを整えるビタミン、体をつくりあげるプロテイン――。この3品を「ウイダーinドリンク」(146円、同)として、九州でテスト発売することに。

1992年、「ウイダーinドリンク」を九州でテスト販売

土肥: 資料を見ると、92年にスポーツ用品店やフィットネスジムなどで発売したようですね。で、結果は?

針ヶ谷: 残念ながら、ダメでした(涙)。市場に定着しなかったわけですが、指をくわえて見ていたわけではありません。アスリートなどに「どんな商品であれば、いいですか?」と聞いたところ、不満の声がありました。「缶を開けたら、飲み切る必要がある。一気に飲みたくないこともあるのに」「缶なので、特定の場所に捨てなければいけない。これは面倒」など。

 また、このような意見もありました。「運動の前後に摂取することで、小腹を満たしてくれるモノがいい。満腹にならずに、なんとなく満足できるようなモノを」と。世の中には飲料ブランドがたくさんありますよね。スポーツドリンクもたくさんある中で、ウイダーinドリンクはその枠を超えることができませんでした。

 こうした反省を受けて、社内で「じゃあ、どうしようか」といった話になりました。また「ああでもない、こうでもない」と議論を重ねていくうちに、「ゼリーはどうか?」という声がありました。そこでどうしたのか。自社の「サンキスト飲むゼリー」という商品に着目して、この技術を応用できるのではないかと考えたんですよね。スポーツドリンクのように飲めるけれど、食べ応えを感じることができる。そんな商品であれば、アスリートも支持してくれるのではないかと考え、94年に「inゼリー」を発売しました。

ゼリー配合や製造技術は独自に開発しているという(出典:森永製菓)

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