25年前に生まれた「inゼリー」は、なぜ過去最高を更新したのか水曜インタビュー劇場(10秒公演)(4/6 ページ)

» 2019年10月09日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

キャッチコピーで利用シーンが限定

土肥: inゼリーは94年に発売して、96年に「10秒でとれる朝ごはん」を全面的に打ち出すことに。で、結果は?

針ヶ谷: 発売して2年ほど、売り上げはそこそこ。ただ、96年にコピーを変えたところ、爆発的に売れたんですよね。その年度の売り上げは、数十億円。翌97年度には、100億円を超えました。新商品を発売して2〜3年で、100億円を超えるのはかなり珍しいこと。当社でいえば、異例のスピードです。

 社内の雰囲気は「じゃあ、次は200億円を目指してがんばろー」といった感じだったのですが、次年度は大きく伸ばすことができませんでした。なぜ、伸びなかったのか。この商品はどういったモノなのか。一定の層に周知されたと思うのですが、広がりに課題がありました。つまり、固定ファンのニーズはつかんだのですが、新しいファンを開拓することができなかったんですよね。

 どうしたらブレイクスルーできるのか。再び、市場調査をすると、次のようなことが分かってきました。「10秒でとれる朝ごはん」をアピールしたことで、朝食以外に利用しない人がたくさんいたんですよね。自分はきちんと朝ごはんを食べているから、関係ないや」といった感じで受け止められていました。

土肥: 広告のコピーは成功したけれども、そのコピーで利用シーンが限定されていたわけですね。

針ヶ谷: 朝ごはんとして、利用している人は多い。ただ、これからは朝ごはんだけでなく、違う形でアピールしていかなければいけないと考え、「積極的なつなぎ食」をコンセプトに掲げました。ご飯とご飯の間に、補給できますよとアピールしたところ、売り上げはぐんぐん伸びていきまして。99年度は対前年度比33%増で、200億円を超えました。

土肥: おー。その後は、どんな感じ?

針ヶ谷: 売り上げは200億円を維持していたのですが、2014年に大変な事態に陥りました。

土肥: 何があったのですか?

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