2日間の「文武両道場」では、具体的にどのようなことが行われるのか。
まずは選手をシャッフルしてチーム分けが行われ、クジで監督が決まる。基本は1チームにつき受講生2人が監督を務めるが、1人になる場合もある。
次のステップは、チームビルド。練習や、主催者側から出される課題への対応を通して、急造チームをまとめあげていく。
そして2日目に真剣勝負の大会が設けられており、優勝を目指して戦うのだ。
それらの過程で監督役の受講生がどのような動き、発言をしているかは、数名の講師によって常に観察されている。大会の決勝戦が終わると、受講生と講師陣、そして各校バレー部の指導者らが1つの部屋に集まり、意見交換が行われる。受講生に深い内省を促す「リフレクション」と呼ばれるプロセスだ。
さらに、この2日間で得た気づきを職場でどう活用できているかを見る、個別対応の「3カ月フィードバック」、その年にプログラムを体験した受講生が一堂に会する「6カ月フィードバック」の機会が設けられている。
このプログラムは、企業向けの人材育成サービスであると同時に、参加する学校側にもメリットを提供している。
参加する選手たち(交通費など実費のみ負担)は、高校1年生の15歳から大学4年生の22歳までと年齢の幅が広く、バレーのスキルレベルもさまざまだ。学校も年代も違う選手たちとチームを組み、その中で自分がどう振る舞えばいいのかを考えることは、それ自体が貴重な経験になる。松田さんは言う。
「高校生の教育、特に部活動などのスポーツ教育を変えようというのも、もともとの大きな理念の柱です。生徒たちには、バレーボールを通して自分という人間を知り、言語化できるようになってほしい。そのために、これまでの自分、プログラム初日を終えた段階の自分、2日目を終えた段階の自分と、3回にわたって『モチベーション曲線と自分への気付き』を記入してもらうようにしています。
それによって、進学や就職の面談などで語る言葉も変わってくる。全国大会に出たとか、勝ち負けの実績だけではなく、バレーという体験を通して自分が何を培ってきたのかをきちんと話せるようになってほしいと思っています」
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