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» 2020年01月10日 05時00分 公開

浜田寿人の肖像【後編】:「WAGYUMAFIA」 代表・浜田寿人が語る快進撃の秘密 「2万円の高級カツサンド」をいかにして“世界一”にしたのか (1/6)

“和牛輸出王”浜田寿人がたどってきた道のりから、最高級の和牛ブランドを世界に広めているWAGYUMAFIAのビジネスモデルに迫る――。設立からわずか3年で急成長を続けるWAGYUMAFIAは、国内では堀江の事業というイメージが強いかもしれない。だが、実質的にトータルプロデュースと海外戦略を担当しているのは浜田だ。後編ではWAGYUMAFIAの快進撃の秘密に迫る。

[田中圭太郎,ITmedia]

 2016年のオープン以降、国内外に5店舗を展開し、今後もフィリピンやロンドンなど海外への展開を進める最高級和牛レストラン「WAGYUMAFIA」。19年には新業態のスタンド式高級焼肉店「YAKINIKUMAFIA」もオープンし、こちらも国内外での展開を予定している。

 また2019年には和牛専門ラーメン店「MASHI NO MASHI HONG KONG」を香港にオープンした。さらに20年1月に「MASHI NO MASHI TOKYO」を東京・六本木にオープン。今後も世界中の都市に店舗を広げる計画だ。

phot WAGYUMAFIA代表の浜田寿人(右)。堀江貴文と共同で創業した(以下、写真は同社提供)

 このインタビューでは設立からわずか3年で急成長を遂げたWAGYUMAFIA代表取締役の浜田寿人に、前編では和牛にかかわるようになった経緯を(ホリエモンプロデュースの「WAGYUMAFIA」 代表・浜田寿人が語る急成長の舞台裏――知られざる挫折、転落、苦悩)、中編では海外のレストランに最高級の尾崎牛や神戸牛を輸出する戦略について聞いてきた(「WAGYUMAFIA」 代表・浜田寿人が明かす“挫折からの復活劇”――そして「世界一」への果てしない挑戦)。

 しかし、16年9月の時点では、レストランが現在のように繁盛するとはとても考えられないほど、客がいない状態だったことは中編(「WAGYUMAFIA」 代表・浜田寿人が明かす“挫折からの復活劇”――そして「世界一」への果てしない挑戦)でお伝えした通りだ。その苦しい状況を乗り越えた背景には、独自のプロモーションとマーケット戦略があった。後編ではWAGYUMAFIAの快進撃の秘密に迫る。

phot 浜田寿人(はまだ・ひさと)1977年生まれ。ソニー本社に最年少で入社後、映画会社を立ち上げる。2012年に初の和牛輸出をシンガポール向けに開始、現在20か国以上に和牛を輸出する。2016年にWAGYUMAFIAを設立。以降、シェフとして世界ツアーを85都市で実施。WAGYUMAFIAのトータルプロデュースを手掛ける。

3カ月間売れなかった「2万円の高級カツサンド」

 東京・赤坂に16年9月にグランドオープンした高級肉割烹「WAGYUMAFIA」は、当初はほとんど客が入らず苦しい状態だった。最高級の尾崎牛と神戸牛を提供するため、一度の食事で数万円と高額になることが、国内の客にはなかなか受け入れられなかったのかもしれない。

 そんな状況でも浜田は、店のコンセプトを変えるつもりはなかった。それはターゲットを、インバウンドなどによる外国人客に定めていたからだ。最高級の和牛を提供するには1人あたりの単価を3万円まで引き上げる必要がある。それを可能にするのは、海外からの客に受け入れてもらうことだった。

 「海外から来る人たちのために店舗を運営する姿勢は、いくらお客さんが少なくても変えるつもりはありませんでした。それは、海外からの客が増えて、海外にマーケットが広がることが、和牛の生産者にとってもメリットになると思ったからです。また、和牛で世界一の存在になるためには、最高級の和牛を安売りせずに提供することが大事だと考えていました」

 そんな状況のなかで、浜田と共同創立者の“ホリエモン”こと堀江貴文は17年3月、中目黒に神戸牛を使った和牛カツサンドの店舗をオープンする。値段は、最も安いもので1000円。神戸牛を使ったシャトーブリアンのカツサンドは当時2万円(税抜き、現在は神戸牛の高騰から2万3000円)だった。当然ながら、日本人で買い求める人はほぼいなかった。

 「カツサンドもターゲットは外国人です。ラグジュアリーで、簡単で、説明のいらないものを提供したいと考えたときに、外国人からよく求められるのがカツサンドでした。だったら、世界で唯一の和牛だけを作ったカツサンドスタンドを作ろうと思いました。

 ところが肉割烹のWAGYUMAFIAと同じように、オープンしてから3カ月は全く客が来ませんでした。ほとんど私と堀江の2人で買い支えていたような状態です。知り合いの楽屋に持っていけば喜んでもらっていましたが、売り上げには全く結び付きませんでした」

 この時点では、赤坂のWAGYUMAFIAもカツサンドスタンドも、広告やPRを全くしていなかった。外国人にリーチするための方法を考えていたからだ。当時、日本を訪れた外国人に話を聞くと「Instagram(インスタグラム)を使っている」という声を多く聞いた。そこで浜田は「インスタ一本足マーケティング」を敢行することにした。浜田は全て英語での投稿を実施し、カツサンド店もそれを徹底した。

phot WAGYUMAFIAの定番「世界で一番高いサンドウィッチ」。神戸牛のシャト―ブリアンカツサンドを特有の「マフィアポーズ」で
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