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「WAGYUMAFIA」 代表・浜田寿人が語る快進撃の秘密 「2万円の高級カツサンド」をいかにして“世界一”にしたのか浜田寿人の肖像【後編】(2/6 ページ)

» 2020年01月10日 05時00分 公開
[田中圭太郎ITmedia]

インスタで地道に投稿

 インスタを活用すると決めたものの、カツサンドスタンドをオープンした17年3月の時点で、浜田のフォロワーは約2000人。堀江でも約7000人しかいなかった。堀江はTwitterのフォロワー数こそ多かった一方、インスタではまだまだだった。

 ある日、初めて2万円の和牛カツサンドが売れた。購入してくれた外国人に許諾をもらって顔写真付きでインスタに投稿した。それからも買い手がつくたびに、地道に投稿を続けた。

 一方で、WAGYUMAFIAが世界中で開催していたポップアップイベントの様子も、積極的にインスタに投稿した。すると、全く知られていなかったWAGYUMAFIAの名前が、高級カツサンドと、世界ツアーとの相乗効果によって浸透し始めたのだ。

 外国人がカツサンドを持って「世界で一番高いカツサンド」「神戸ビーフのカツサンド」と投稿するようになると、オープン4カ月を過ぎたころからインスタで広がり始めた。世界中からユーチューバーやセレブも訪れるようになった。このころの手応えを、浜田は次のように振り返る。

 「フォロワーが徐々に増えて、1万人を超えたところで変わってきました。そのときに『言葉で売れる時代は終わった』と感じましたね。写真か動画によって、1秒で伝わるような圧倒的な興奮が必要でした。世界一のカツサンドという分かりやすいコンセプトがじわじわと広がって、有名なユーチューバーも来てくれるようになりました」

 ちなみに、浜田は現在、インスタのフォロワーが10万人を超えている。インスタによって海外のマーケティングに成功したのだ。

 こうしてカツサンドスタンドが軌道に乗ってきた17年7月、満を持して西麻布にWAGYUMAFIAの新店舗、THE BUTCHER‘S KITCHENをオープンする。赤坂の肉割烹、中目黒のカツサンドスタンドと合わせて3店舗が揃(そろ)い、免許を取得して精肉店も始めた。

 最初は飲食店に関わることに消極的だった堀江だったが、このころにはTHE BUTCHER‘S KITCHENのオープン資金を浜田と一緒に出すなど、店舗の運営にも本格的に取り組むようになった。その変化を浜田はこう話す。

 「自分たちのWAGYUMAFIAというブランドが、食に変わって喜んでもらえる体験をして、だんだん本気になっていったような気がします。特にTHE BUTCHER‘S KITCHENという城ができてからは、彼は飲食業の顔になったと思います」

 3つのタイプのWAGYUMAFIAで外国人に最高級の和牛を楽しんでもらう環境が整った。そしてそのタイミングで、誰も想像していなかったことが、次々と起きるようになる。

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