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「WAGYUMAFIA」 代表・浜田寿人が語る快進撃の秘密 「2万円の高級カツサンド」をいかにして“世界一”にしたのか浜田寿人の肖像【後編】(5/6 ページ)

» 2020年01月10日 05時00分 公開
[田中圭太郎ITmedia]

血のにじむような挫折が生み出した栄光

 WAGYUMAFIAは16年にスタートして、3年で急成長を遂げた。浜田は5年を迎える21年をめどに、和牛レストランとして世界の頂点に立ちたいと考えている。2019年9月期に営業利益は1億円を突破した。今期は営業利益3億円を目標とする。社員数は再生計画を始めたときと同じく現在も浜田1人だけだ。この成長を支えているのは過去の失敗だと浜田は言い切る。

 「ここまで5年計画のプロジェクトで進めてきました。2020年はオリンピックがありますから、この5年で頂点をとれなかったら難しいと思って取り組んでいます。最初の5年間は集中できるのと、やっていて楽しいので一番伸びる時期ですよね。そこで集大成まで持っていきたいと考えています。

 これだけ早くここまで来られたのは、やはり過去の失敗があったからだと思います。みんな失敗を恐れるじゃないですか。でも僕の場合は、大失敗したからこそ今があります。若い人も恐れずに思い切り失敗すべきです。もちろん迷惑をかけることも多く、そんなときは申し訳ない気持ちでいっぱいになります。ただし成功するためには失敗を恐れてしまっては絶対にダメ。その失敗から気付きや学びがあってはじめて、次の大きなチャレンジの成功があると信じています。

 一番底に沈んだころはランチも買えず、部屋中を探してみても430円しかありませんでした。本当につらかった……。でもそのときに、オリンピックに出場した友人からこんなことを言われたんです。『浜ちゃん、なかなか人は死なないからさ』と。その言葉に救われました。いろいろな人に助けてもらって、失敗を糧にできたと思っています」

 現在でもWAGYUMAFIAの海外展開を進める中で、失敗することも多々あるという。

 「結果だけ見れば海外展開も順風満帆に進んでいると思われるかもしれませんが、その裏には数多くの失敗があります。以前も、サンフランシスコで出店を巡ってもめて、数億円のプロジェクトが吹き飛んだりしたことがあります。そのたびに『なかなかうまくいかないものだ』と思ってきましたが、結局、無理な開店や出店をやめたから良かったこともあります。

 僕はうまくいかないときにこそ、客観的に自分を見ようと心掛けています。WAGYUMAFIAという物語の中では主観性を持ちすぎないこと、自らも観客のように絶えず起こりうる事象に対して、受け流すことが大切だなと思えるようになりました」

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