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「WAGYUMAFIA」 代表・浜田寿人が語る快進撃の秘密 「2万円の高級カツサンド」をいかにして“世界一”にしたのか浜田寿人の肖像【後編】(6/6 ページ)

» 2020年01月10日 05時00分 公開
[田中圭太郎ITmedia]
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堀江貴文との再会が意味したもの

 最初は肉割烹もカツサンドも、客が集まらない困難があった。さまざまな失敗を重ねながらも、ここまで成長できた理由には、堀江との再会も大きかった。

 「彼がいなかったら、ここまではできなかったと思います。よくLINE上で議論が白熱しすぎて、スタッフに『また夫婦喧嘩が始まった』と言われることもありますが……。僕もオブラートには包まずに、はっきりものを言うので、議論で戦える相方の存在は大きいのです。

 また彼が“国内の顔”になっているのも強い。僕は性格的に日本人とうまくやっていくのが難しいタイプなんです。日本では影の存在としてクリエイティブサイドに徹し、そして海外ではシェフとして、プレーヤーとしてもアピールできることが、このブランドの1つの強みになっていると思います。堀江は常に新しい取り組みに対してポジティブですしね。僕らは前例のないチャレンジをしているので、経験則で考え出したら新しいブランドなんてできないのです。

 以前、海外から買収提案が来て、その条件は『株の過半数』と、『堀江の退任』でした。決して悪くはない買収の話でしたが、サクッと断りました。僕にとっては『誰と仕事をするか』の方が重要で、このWAGYUMAFIAのブランドやDNAの中で堀江の存在はそれだけ大きいのです」

 浜田はいま、世界を舞台に活躍することで、世界中のプレイヤーたちのすごさを実感している。それがさらなるモチベーションを生んでいることは間違いない。それでも、調子に乗らずに、かつアクセルを踏み続けている。

 「最近は、“go with flow”という言葉をよく使います。日本語で「流れに任せる」という意味です。若いときは周りが反対しても突き進んでいましたが、今は必然でやったことの方がうまくいくと気付きました。成立するものは成立するし、成立しないものは成立しない。成立しなくても感情的に悲しまずに、WAGYUMAFIAというストーリーを見ていきたいと思っています」

 和牛を世界で売りたいという情熱と、それを実現する海外での人脈。そして豊富な実体験。幾度もの失敗を経て、和牛の道一本を選んだ浜田は、これからも世界一を目指して疾走する。

 「いってらっしゃい!」

(了、敬称略)

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著者プロフィール

田中圭太郎(たなか けいたろう)

1973年生まれ。早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。大分放送を経て2016年4月からフリーランス。雑誌・webで警察不祥事、労働問題、教育、政治、経済、パラリンピックなど幅広いテーマで執筆。「スポーツ報知大相撲ジャーナル」で相撲記事も担当。Webサイトはhttp://tanakakeitaro.link/


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