連載
» 2019年10月27日 05時00分 公開

堀江貴文の『捨て本』【中編】:ホリエモンが社員を「切り捨て」てきた真意――サラリーマン社会も楽な方に変えられる (1/4)

本当にそれは必要ですか? 経営者としての「ホリエモン流」人生哲学。ビジネスにまつわる「捨てる」ことの意義を、3回に分けて紹介していく。中編はホリエモンが社員を「切り捨て」てきた真意を語る。

[堀江 貴文,ITmedia]

 本当にそれは必要ですか? 良くも悪くも、あなたの持ち物は重くなってはいないでしょうか。大切にしていた「はず」のモノで、逆に心が押しつぶされそうになってはいないか。だから、ビジネスも人生も「捨てる」ことからはじめよう。「これから」を、病まないで生きるために。

 僕は「時代の寵児(ちょうじ)」と呼ばれてから一転して逮捕・収監を経験しました。その後、令和元年、ついに日本初の民間ロケット打ち上げ実験を成功させることができました。その折々にあったのは「捨てること」「持たないこと」を徹底した思考法でした。

 もし、自分にある種の強さがあるとすれば、それは「捨てる」ことへの、ためらないのなさかもしれないと思っています。幼少期の原体験から東大、ライブドア時代と、久し振りに自身の半生をゼロから振り返った「原点」を新刊『捨て本』徳間書店)に記しました。

 逆境にあっても未来を見据えながら、今を全身全霊で生きる。そのために、捨てるべきものは何か。持っていなければいけないものは何か。ライフハック、お金、仕事から人間関係まで、「所有」という概念が溶けたこの時代に最適化して、幸せに生き抜くためのメソッドをつづっています。今回はビジネスにまつわる「捨てる」ことの意義を、3回に分けて紹介していきます。

 前編「ホリエモンが「東大卒ブランド」を捨てた理由――私はこうして起業家人生をスタートさせた」では東大を中退し、1996年にオン・ザ・エッヂを立ち上げるまでの話をしました(関連記事を参照)。今回の中編では会社を運営する中で感じた「捨てる」ことの重要性をお届けしたいと思います。

phot 堀江貴文(ほりえ たかふみ) 1972年福岡県八女市生まれ。実業家。SNS media&consultingファウンダーおよびロケット開発事業を手掛けるインターステラテクノロジズのファウンダーも務める。元ライブドア代表取締役CEO。2006年証券取引法違反で東京地検特捜部に逮捕され、実刑判決を下され服役。13年釈放。現在は宇宙関連事業、作家活動のほか、人気アプリのプロデュースなどの活動を幅広く展開。19年5月4日にはインターステラテクノロジズ社のロケット「MOMO3号機」が民間では日本初となる宇宙空間到達に成功した。予防医療普及協会としても活動する。14年にはサロン「堀江貴文イノベーション大学校」をスタートした。本書『捨て本』(徳間書店)以外の著書に『健康の結論』(KADOKAWA)『ピロリ菌やばい』(ゴマブックス)など多数

会社が大きくなるにつれて開いた「溝」

 オン・ザ・エッヂを立ち上げたときのメンバーは、僕を含めて4人だ。そのなかには僕と同じ東大出身者もいた。大学で知り合ったわけではなく、バイト先で知り合ったので、ビジネスパートナーという認識だった。みんな年の離れていない、友人同士の関係からのスタートだった。

 創業直後から、インターネット関連の需要は多かった。時代はまさに、インターネットの黎明期。制作を受注できる専門的なスキルを持った会社の数は、限られていた。僕たちみたいな小さな会社にも、続々と仕事が舞いこんできた。創業からわずか1年4カ月で、オン・ザ・エッヂは株式会社に改組した。

 会社が大きくなっていくにつれて、創業メンバーとの溝が、開いていった。

 もともと仲良しの間柄で集まったわけではない。多少の意見のズレはあって当然なのだけど、「それは違うんじゃない?」と言い合う場面が増えてきた。社員が増え、扱う案件のスケールが大きくなり、社外からの人の出入りも激しくなって、それぞれ気持ちに余裕がなくなってきた。

 僕は銀座に家を借りていたのだけど、ほとんど帰れずオフィスに泊まる日々が、何カ月も続いていた。外食ばかりで、遊びにも行けない。若さも加わって、イライラが募り、社内で創業メンバーと口論になる……という悪循環に陥っていた。

 いろんなことがあって結局、創業メンバーはみんな会社を去った。創業直後に入社した社員の大量離脱という憂き目にも遭った。

 実体験から言うわけではないが、もし起業を望んでいるとしたら「別れたくない友だちとは、一緒に会社をやらない方がいいんじゃないの?」と伝えておこう。仲良しこよしの家族的チームでいたいと願っていても、メンバーが各々(おのおの)年齢を重ね、経験と知識を身につけていくうち、最初の仲間的な関係は、必ず変化する。必ず、だ。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセスランキング
  • 本日
  • 週間