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高額賞金難しいeスポーツ 「モンスト」が“1億円の大会”を運営する秘訣に迫るミクシィ「モンスト」のキーマンを直撃【後編】(2/4 ページ)

» 2019年11月08日 05時00分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

eスポーツ大会が刑法に触れないために

――景表法の問題以外で、高額賞金の大会運営において、障壁になりそうな法律はありますか。

 海外の大会ですと、参加者全員で大会の入場料をとって、それを賞金に充てる、というやり方も一般的です。しかし日本でこれをやってしまうと、参加費を払った選手自身がリターンとして賞金を得る可能性があるということで、刑法に抵触する可能性がでてきてしまいます。

――刑法にも触れる可能性があると……。では、どんな対策が考えられるのでしょうか。

 これを防ぐためには、出場する選手があらかじめ決まっている形式である必要があります。その形式であれば、選手自身は「お金を支払っていない」という証明が可能です。「モンストグランプリ」の場合、決勝大会はこの形式ですので、来場者から入場料を取って運営しています。一方、予選大会の場合は誰でも4人1組で参加できるオープン形式になっていますので、無料で運営にあたるといった対策をしているのです。

――多くの参加者を募るために無料での運営を強いられるとなると、運営側としては痛いところでしょうね。

 われわれとしてはどうしても興行としてのビジネスになりますので、その辺の制限が入ってしまうと、収入源を1つ失うことになってしまいます。やはり、興行として持続的に発展させていくという意味では、その辺りがより柔軟になってほしいという願いはあります。

――入場料以外にも何か注意すべき点はあるのでしょうか。

 今回から、予選大会から賞金を出すようにしたのですが、オープン形式の大会で賞金が出る場合、入場料が取れない以外に、われわれが版権として持っている「モンスト」のグッズ販売もできないという点があります。グッズの売り上げの一部が賞金の原資になっている点は否定できませんから。本音を言えば予選大会で地方にいるファンの皆さんにもグッズを販売したいところです。この辺りは今後の課題ですね。

――予選大会では、優勝者だけでなく、2位と3位にも賞金が出るようになりました。どういった狙いがあるのでしょうか。

 基本的には選手のことを考え、参加者の間口を広げたいという狙いがあります。大会の回を重ねるにつれて、参加者の数も増え、ハードルが高くなっている面もあります。ですから、地方予選を勝ち上がるだけでも一定数の賞金が出るところで、1人でも多くの人のモチベーション向上につながればという思いがあります。

 また、決勝大会の優勝賞金自体も、18年は1位が3000万円だったものを、19年は4000万円に引き上げていますので、トップライン自体も上げました。

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