「銘柄量り炊き炊飯器」は家電事業で後発だったアイリスオーヤマが他社にない特徴を持った炊飯器を世に送り出すべく開発したもの。炊飯時の水分量に着目したのは、同社が精米事業を展開しているからであった。
精米事業を展開していく中で、同社は銘柄ごとの最適な精米方法などの知見を得ることになり、それを生かして炊飯器や熱湯で温めて食べるパックご飯を開発した。家電開発部 部長の原英克氏は次のように話す。
「水の量によっておいしさにバラつきが生じることが分かってきました。米を炊くとき、1合で200cc前後の水を使いますが、わずか10cc違っただけで、味が変わってしまいます」
同社の調査によれば、炊飯器で米1合を炊くときに内釜の水位線を見て水を入れてもらうと、8割以上の人が誤差を10cc以内に収められないことが判明。3合炊く場合でも半数近くの人たちが、内釜の水位線を見て適正量の水を入れることができないという。
また原氏によれば、高価な炊飯器と安価な炊飯器で炊いたご飯の味を比較したときに感じる差よりも、同じ炊飯器で水量を変えて炊いたご飯の味を比較したときに感じる差のほうが大きく感じられるとのこと。米の量に合った適切な水量でつねに炊けるようにすれば他社にないものにできる、と考えた同社は、15年に「銘柄量り炊き炊飯器」を企画し、開発に着手する。
ご飯をおいしく炊くのに最適な水量を銘柄ごとにイメージしたもの。目で見て分かるほど違いがある。水が入ったこの試験管は、販促物として店頭に置かれることもある
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