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AIで採用活動はどう変わる? セプテーニに聞く「HR Tech」の現在(2/2 ページ)

» 2019年12月06日 07時00分 公開
[山崎賢司ITmedia]
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AIで効率化 最終的に判断するのは人間

―― テックあるいはAIの活用に関して、人事のスタンスというのは社内や人事の中でよく議論されるのでしょうか。

斎藤 これまでご説明したように、最終的に判断するのは「人間」であって、活躍予測モデルやデータはその判断材料であるというスタンスを強く持っています。また、AIの活用は応募者にとって有益なものでなければならないと考えていて、オンライン・リクルーティングやキャリアフィードバックもその一環です。

 日本能率協会のKAIKA Awardsで取り上げていただいたように、採用の手法や採用の効率化という話にとどまらず、今後もAIを活用することで、より社会的意義のある採用活動に取り組んでいきたいと思っています。

 今回のセプテーニ・ホールディングスのHR Tech活用例は、お伺いするほど人事のポリシーとスタンスが重要であることが分かりました。本来の目的とテックで扱う領域をしっかりと決めているので、逆に人の判断や意思決定の重要さが際立っています。また、候補者(あるいは従業員)と人事・組織との信頼促進ツールにもなっているという印象も持ちました。

 HR Techという言葉から入ると、そのメソッドやツールそのものに目が向きがちです。確かに、人事の機能の中で大きな工数削減、効率化に寄与する可能性は高くなります。しかし、そのようなテックを導入すること自体が目的になり、かえって業務フローや手続きが煩雑になってしまったり、あるいはツールやアプリは存在しているものの活用されないままになったりしているのはよく聞く失敗事例です。

 そもそも人事分野において、評価や給与、昇進昇格、人材育成などは、単体で機能しているものではなく、相互に連動して運用され、機能しているものです。短期的な視点で、部分最適的な手段としてHR Techを導入して、失敗することのないよう、長期的・全体最適の視点から、本来の目的を明確にした上で導入することが重要でしょう。

著者紹介:一般社団法人日本能率協会 KAIKA研究所 山崎賢司(やまざき・けんじ)

 大学卒業後、英国国立ウェールズ大学経営大学院 経営学修士課程MBA(日本語)修了。地方銀行を経て社団法人日本能率協会(JMA)入職。リーダー育成、経営者選抜育成等の教育研修のほか、企業の組織診断、風土改革、教育体系・人事制度構築など300社以上をサポート。現在は研修・講演会講師や各社の組織サポートとともに、個人の成長・組織活性化・組織の社会性をベースとした次世代の組織の在り方「KAIKA(開花・開化)」の普及・啓発を行っている。


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