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面談のコメントから「辞めそうな人」がここまで分かる――「短期離職者に悩む会社」の人材流出を止めたAIの力(5/5 ページ)

» 2019年12月23日 08時00分 公開
[後藤祥子ITmedia]
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「AIを使って何かできないか」と言っているうちは何もできない

―― AIの活用については、「PoC(実証実験)止まり」で導入、運用までいきつかないケースが多いといわれています。その理由についてどのように考えていますか。

菊池: AIが話題になっているので、会社によっては「AIという手段」が先行してしまい、「取りあえずAIを使って何かやってみよう」と考える経営トップが多いように思います。ただ、それで結果が出るケースはまれなんです。

 まず、「何をやりたいのか」という目的を明確にして、それを達成するためにはどんな方法があり得るのかを考えた方がいい。その中にAIという選択肢があるなら、他の選択肢と比較した上で、必要に応じて使えばいいんです。

 重要なのは、さまざまな選択肢がある中で、最適な方法を選ぶだけの知識と見識があるかどうかです。当社でも、案件によってはAIではなく、統計解析のほうが適しているケースがあったわけですから。

社員とのエンゲージメントを高めるためにすべきこと

―― ソラストの経営戦略の中で、人材戦略はどのように位置付けられているのでしょうか。

菊池: 当社は、採用した人を受託先の病院に配置して役務を提供する業態ですから、経営資源の大半を“人”が占めています。つまり“人材”が経営を左右することになるので、人材戦略は当社の中で重要な位置付けになっています。

 人材戦略を俯瞰すると、「適性を重視した採用施策」と「短期離職を減らすための施策」は短期スコープで、長期スコープではタレントマネジメントの仕組み作りを進めています。社員をどうやって戦力化していくのか、社員をどのように組み合わせれば組織のパフォーマンスが上がるのか――。スキルやタレントをきちんと可視化して、個人の育成と組織の配置に活用していく計画です。

 こうした個人の記録を可視化し、データとして残していけば、「誰がどれだけのパフォーマンスを出したのか」「そのパフォーマンスはどのように評価され、どれくらいの報酬アップにつながったのか」といったことを連動した形で把握できるようになります。それが「透明性のある評価と報酬」につながり、個々の社員とのエンゲージメントを高めることになると考えています。

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