イノベーション人材採用以外にも、KDDIはさまざまな人事制度改革を行っている。例えば、「WILLコース」はその1つだ。これは新卒を対象に、初期配属を希望の部署に確約するコースだ。これまでは「総合職」として採用し、入社後に適性を見て配属を決めていたが、WILLコースであれば希望通りの部署へ行くことができる。
秋津氏は「若手の離職率が上がってきているのは否めない」と背景を話す。「『これをやりたい!』と強い思いを持って入社する人も多い。こうした人たちに応えたいと思い、コースを新設した」と秋津氏。文系、理系を問わずさまざまなポストを用意している。今後はWILLコースにひもづくインターンを増やしていきたいという。求職者に対しては、「自分のやりたいことができそうだし、応募してみよう」という効果を及ぼすだけではなく、採用する側も「自分の部署に来る人なんだな」という考えを持ち、より真剣に面接などに臨むというよい効果も出てきている。
また、19年からは、専門性を持ったスペシャリストとしてキャリアアップしていくコースを新設した。従来は一線を離れ、管理職としてキャリアアップしていくのが基本だった。どういったキャリアパスを選択するかを個人にゆだねることで、自律的かつ責任感を持ったキャリア構築を促進していく。
他にも、イノベーション人材と似たもので「革新担当部長」というポストの採用も行っている。これは、新規事業を「担当者」として引き受けるイノベーション人材とは異なり、部門の責任者として事業戦略の推進を担うポストだ。
このように数々の改革を実行する裏には、18年に社長へ就任した高橋誠氏の意向もある。「高橋も、人事の重要性は重々感じているようで、新たな中期経営計画には初めて人事計画が盛り込まれた」と秋津氏は話す。
20年には5Gが商用化があり、KDDIにとっては大きな追い風になるはず。新たな人事制度とともに、どのような成長軌道を描いていくのだろうか。
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