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東京駅で「売れ残り」救出、その効果は? 食品ロス対策に“企業間連携”が欠かせない理由「食品ロス」削減への現在地(4/5 ページ)

» 2020年02月21日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

全国に広げるためのシステム構築へ

 一方、事業化に向けて課題も残る。篠田氏は「人員」「時間」「場所」の3つを挙げる。

 実証実験では、参加店舗が少なかったため、スタッフ3人で商品を集めて回っていた。当然ながら、もっと規模を広げることを考えると、人を増やす必要がある。そうなると、TABETEの担当者だけで回すことは難しい。また、午後10時半という販売開始時間、従業員休憩室という販売場所だけでは、利用できる人が限られる。広い東京駅構内を歩いて買いに来ても、完売してしまうこともある。一方、売れ残りを販売するという趣旨から考えると、一気に販売機会を広げることも難しい。

 少しでも利用しやすくするための方法の一つとして、「将来的には、予約などができる専用アプリも開発したい」(篠田氏)という。現在は「LINE@」を活用して、販売開始、その日の商品の写真、販売終了などを告知している。そういった機能を含めたアプリを提供して、利便性を高めたい考えだ。

 今回の実証実験では、事業者と消費者双方に需要があるサービスであることが確認できた。今後は本格運用に向けて、オペレーションやシステムの構築を目指す。篠田氏は「全国のエキナカや商業施設に導入できるようにしたい」と意気込む。

他の商業施設でも導入できるようにシステム構築を目指す

 レスキューデリのように、事業者が連携して食品ロス削減に取り組む動きは広がっている。レスキューデリは小売店舗を中心とした取り組みだが、食品の消費には、生産から流通、販売に至るまでさまざまな業界が関わっていることから、ロス削減のためには幅広い連携も鍵となりそうだ。

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