「振替納税」とは、あらかじめ引き落とし口座などを税務署に届け出ることで、決まった日に納税額が口座から落ちる仕組みです。また、「クレジットカード納付」を使えば、その名の通りクレジットカードで納税をすることができます。
これら二つの方法を使うことで納税に猶予が生まれるのは、口座から納税額が落ちるタイミングが、納期限よりも後になるからです。しかも、延滞税などの追徴税もかかりません。
クレジットカード納付の引き落とし日は、利用するカードの規約によりますが、振替納税の場合、毎年特定の日が振替日として指定されます。令和元年分の所得税については、令和2年5月15日が振替日なので、実質的に納期限から1カ月弱の猶予があるということです。
これは大した違いではないように思えますが、資金繰りが日々変動するフリーランスや自営業者にとっては、助かることも少なくないはずです。とくに、確定申告の準備を早めに行っていないと、期限の間際になって所得税の金額を初めて認識し、「お金が足りない!」と慌てることにもなりかねません。そうしたとき、ひとまずは振替納税やクレジットカード納付の手続きを取っておいて、引き落とし日までにお金を用立てすれば、未納にならずに済みます。
ただし、振替納税やクレジットカード納付を使うときには注意点もあります。「残高不足」のリスクです。振替納税については、振替日に残高不足だった場合、納期限の翌日以降ずっと未納だったのと同じ扱いになります。そうすると、未納税額にもよりますが、未納日数に応じた延滞税がかかります。
一方クレジットカード納付を利用した場合、クレジット会社を通じて納税はなされているため、残高不足であっても税金は未納状態としては扱われません。ただ、クレジットカード会社に後から引き落としできなかった税額を支払う必要があり、このときに金利や手数料を取られる可能性があります。
いずれの場合でも、引き落とし日には十分注意して、確実に引き落としが行われるようにしておきましょう。
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