――日本企業はみんなで努力することによって生産性を上げ経済成長をしてきましたが、これからは何がキーポイントになるのでしょうか。
これまでの日本企業では、従業員全員が同じ方向を向いて効率よく仕事をするのがよしとされました。ですが、これからはガラッと変わってくるでしょう。効率重視ではなく、個々人がどれだけ新しい価値を見いだせるかが重要になります。
三菱ケミカルHDグループ全体で約7万2000人の社員がおります。社員の3割は外国人ですが、外国人含めさまざまな専門知識や経験を持つ社員を起用して、個の力が発揮できる環境を作る必要があります。
日本企業は経済の先行きが見通せないからといって利益を内部留保にばかり回しています。ですが、それは間違いで、人材の有効活用や新しい技術開発のために、ため込んだ資金を使うべきです。
――確かに企業の研究開発が進まない理由には、儲けた利益を内部留保に回し過ぎている点がよく指摘されます。
企業の内部留保については、外形的な規制を導入する方法もあるのかもしれませんが、企業人はマインドセット、つまり頭を切り替えないとダメだと思っています。欧米に比べてトップがリスクを取らない企業文化を変えるべきなのです。
海外のいわゆるアクティビストについては批判もありますが、資本効率について極めて論理的に主張しています。外圧としてのアクティビストの存在も、取締役会を動かすきっかけになるのではないでしょうか。リスクを取らない企業のトップは去るべきなのです。
――三菱ケミカルHDではドクター職を増やす考えのようですが、その狙いは。
これからは優秀なドクターをいかに増やせるかが重要です。当社の採用は現在約10%がドクターですが、20%まで増やそうと考えています。特に統計や数理データ処理ができる人材を必要としています。
かつてはIT企業だけがこうした人材を求めていました。現在はあらゆる企業がこうした人材を有効活用する必要があります。そうでなければ新しい事業展開はできなくなってきている。そのことに気付かなければなりません。
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