- 売上高は10兆2000億円で、前年から1兆3742億円のマイナス。
- 営業利益は850億円で、前年から2332億円のマイナス。
- 営業利益率は0.8%で、1.9ポイントマイナス。
日産は減収減益。ちょっと見たことがないレベルの数字だ。1兆4000億円近いダウンは流石に強烈。また利益の減少も凄まじい。営業利益率の0.8%は何というか、おそらくあがきにあがいて水面からかろうじて顔を出した感じ。もし外部の人間が血も涙もない計算の仕方をしたら赤字に沈みかねない結果だ。7年近く開発が止まっていたと思われる新世代シャシーを再開発し、ラインアップを立て直せるかどうかにかかっている。
日産は昨年の本決算で、22年までに基幹車種の全て、20車種をリニューアルすると説明していたが、売上も利益もこれだけダウンすると、その計画を進める資金が足りるのかどうかが危ぶまれる。ルノーとの関係がもつれている今、外部からの新たな資金援助も一筋縄ではいかないだろう。頑張ってほしいという言葉が精一杯だ。
- 売上高は3兆3600億円で、前年に1995億円のプラス。
- 営業利益は2200億円で、前年に245億円のプラス。
- 営業利益率は6.5%で、0.3ポイントのプラス。
スバルは増収増益。この市況下では極めて良好だといえる。トヨタを別にすれば一番の勝ち組だ。ピークで17.5%、一昨年は11.7%もの利益率があったのだが、それはそれで異常な数字だった。当然そんな利益率は長続きするはずはなく、落ちるのは当然で、理想である8%程度で止まらずに、昨年6.2%まで落ちたことを注視してきたが、今回0.3%とは言え反転して上げ始めたことも朗報だ。あとはこれをステップバイステップで上げていかれるかどうかがポイントになるだろう。
- 売上高は3兆5000億円で、前年から3715億円のマイナス。
- 営業利益は2000億円で、前年に1244億円のマイナス。
- 営業利益率は5.7%で、2.7ポイントマイナス。
スズキは減収減益。ちょっと落ち幅が大きい。営業利益率も理想値から下回り始めた。少し気になる。スズキの場合原因はハッキリしており、インドの景況悪化が長引いていることが原因だ。
特に金融システムの問題が大きい。インドは元々与信管理が杜撰(ずさん)だったところへ不景気で貸し倒れが多数発生し、驚いた金融機関が急に貸し出し基準を厳格化したために、経済全体に資金が回らなくなった。恐らく時間経過とともに妥当な与信管理体制が確立されると思われ、そうなれば景気の循環でまた好景気になるだけの成長余地はあるだろう。ただシステムの立て直しにどの程度かかるのかはまだ何ともいえない。
- 暴走が止まらないヨーロッパ
英政府は、ガソリン車、ディーゼル車の新車販売を、ハイブリッド(HV)とプラグインハイブリッド(PHEV)も含め、2035年に禁止すると発表した。欧州の主要国はすでに2040年前後を目処に、内燃機関の新車販売を禁止する方向を打ち出している。地球環境を本当に心配し、より素早くCO2削減を進めようとするならば、理想主義に引きずられて「いかなる場合もゼロエミッション」ではなく、HVなども含めて普及させる方が重要ではないか。
- 2020年の中国自動車マーケット(前編)
世界の自動車販売台数の3分の1を占める中国で変調が起きている。中国マーケットで起きていることをちゃんと押さえることが第一。次いでその原因だ。そしてそれらが20年代の自動車産業にどんな影響を与えそうなのかを考察してみよう。
- トヨタとスズキ 資本提携の構図
トヨタ自動車とスズキは資本提携を発表した。その背景として大きいのがインド。スズキのインド戦略を振り返るとともに、提携による効果はどこにあるのかを探る。そして、トヨタとスズキとの提携の本丸は、インドでの工場共同設立にあるのではないか。
- ホンダの決算 バリエーション7割削減の意味
増収減益ながら、欧州の工場閉鎖など減益は一過性となるホンダの決算。そして来期に向けては、無駄な派生車種を3分の1に削減し、基礎設計を共通化する「ホンダアーキテクチャー」の導入も進める。
- 完敗としか言いようがない日産の決算
ズタズタの決算内容だった日産。一つの要因は、北米で販売促進費用(インセンティブ)をつぎ込んで売り上げを伸ばそうとしたことにあるのではないか。対策として、22年にはモデルラインアップの半数を電動化車両にするというがバッテリー供給は大丈夫か。20車種の新型を出すというのも、短期間で作られる新車は大丈夫なのか?
- マツダの決算 またもや下がった利益率の理由
売上高は増収だったが利益面の落ち込みが激しいマツダの決算。北米と中国市場の不振が響いた結果だ。今後に向けて、販売店改革とパワートレーンの刷新を進めるが、これが北米市場で実を結ぶかどうかが焦点となる。
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