例えば、英国の西イングランド大学が5年以上にわたって、通勤が英国の会社員2万6000人以上に与えた影響を分析した調査(Commuting and wellbeing、2014年に発表)では、
といったことが分かっています。
また、ドイツの経済学者のブルーノ・フライ博士は、発表した論文(“Stress That Doesn’t Pay: The Commuting Paradox”, 2004)で、「長時間の通勤がもたらすストレスの高さは、年収が40%アップしないと割に合わない」と、賃金と比較して会社員の心情に寄り添っています。
さらに、スウェーデンで暮らす18万人の夫婦を対象に行われた調査(“On the road: Social aspects of commuting long distances to work”, 2011)では、「1人のパートナーが毎日就労するのに少なくとも45分通勤するときに、カップルが離婚する可能性が40%高くなる」ことも判明してしまいました。
通勤時間と離婚の関係を分析するとは、ワークライフバランスを重視する北欧らしい調査ですが、こういったエビデンスを鑑みれば、時差通勤は真っ先に取り入れるべき働き方改革であることが分かるはずです。
これまでも「働き方改革」に対して苦言を幾度となく呈してきましたが、真の働き方改革とは、それまで見過ごされていたこと、仕方がないとされていたことを「みんなの問題」として考え、解決しようと努力すること。隠されてきた悲鳴を掘り起こし、「今まで当たり前」だったことを、「本当に当たり前なのか?」「本当に必要なのか?」と考えてみる。日常への小さな問いの積み重ねが「一人一人が輝く社会」につながっていきます。
仕事やモノに人が合わせるのではなく、仕事がより効率的にできるように働き方やモノを変える――。この当たり前に気付かない限り、生産性が向上するわけがないのです。
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