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国交相発言はみっともない 新幹線の車椅子スペース、増やすための“一手”杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/5 ページ)

» 2020年03月06日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 これに対して赤羽大臣は現状の認識と理解を示し、改善を約束した。予算委員会では下らぬ質疑ばかり中継、報道されているけれども、専門部会まで議事録をたどれば、与野党ともに問題解決の議論がちゃんと行われている。

 国土交通委員会終了後、赤羽大臣の指示で、19年12月23日に早速「新幹線のバリアフリー対策検討会」が招集された。参加者はJR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州、DPI日本会議(身体障害、知的障害、精神障害、難病等の障害種別を超えた95団体が加盟)、日本身体障害者団体連合会等、国土交通省総政局、鉄道局だ。

 「新幹線のバリアフリー対策検討会」は「ソフト対策検討WG」「ハード対策検討WG」という分科会が設けられている。「ソフト対策検討WG」は木村英子議員が指摘した「車椅子スペースの予約が乗車2日前に締め切られ、当日の利用ができない」について。「ハード対策検討WG」も同様に「そもそも車椅子用スペースが足りない」を解決する方法について話し合われる。それぞれ1月17日に第1回、2月7日に第2回を開催した。

各方面新幹線の車椅子スペース数(出典:第1回 新幹線のバリアフリーソフト・ハード対策検討WG資料

 「ソフト対策検討WG」については、現在の車椅子スペースについて「各駅の車椅子専用の受付電話番号に連絡して予約し、その駅しか切符を購入できない」という制約がある。改善要望として「Webで予約したい」「どの駅でも購入したい」だ。また、東海道新幹線で開始される予約制大型荷物スペースについて、折りたたみ式車椅子に配慮してほしいという要望がある。

車椅子対応座席の予約方法について、日本と海外の違い(出典:第1回 新幹線のバリアフリーソフト・ハード対策検討WG資料

 JR側の意見は「切符購入について、何に時間がかかっているのかの洗い出しをしているところ」だった。これは現状認識の甘さと言わざるを得ない。「ずっと昔に決めたまま、何も疑問に思わずにいた」ということだ。私の想像では、かつては駅もバリアフリー対応ではなく、列車に乗るために介助者や駅員のサポートが必要で、人員手配も含めて駅で対応していたからだろう。

 いまや車椅子利用者は1人でどんどん行動できる。問題は、ネットなどで予約できるようにした場合、車椅子スペースの有資格者をどのように判別するかだろう。障害者手帳の申請にマイナンバーが必要となったので、マイナンバーカードの情報を利用する方法がスマートかもしれない。

近畿日本鉄道は2020年2月から特急列車の車椅子席をWeb予約可能にした(出典:第1回 新幹線のバリアフリーソフト・ハード対策検討WG資料

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