私が国交大臣だったら、視察から戻った後で担当者に省令の見直しを指示するだろう。報道公開の場で「私は障害者に優しいゾ」というパフォーマンスをするくらいなら、ガイドラインに従ったJR東海を褒めたほうが良かった。
省令は国交大臣名で出されており、JR東海も素直に従った。それを公の場所でダメ出しされては、国交省の方々もメンツ丸つぶれだ。尽力している人々の士気を下げ、求心力の低下として自らに跳ね返る。それで大臣はリーダーシップを発揮できるか。心配でさえある。
JR東海は東海道新幹線の運行について、沿線のささいな工事にまで口出しするなどして評判がよろしくない。新幹線の利益を優先して在来線をないがしろにしているなどと批判されてもいる。その反論もあろうけれども、JR東海は東海道新幹線が国益を担っているという誇りと責任を持っている。私もその全てが是とは言わないけれども、彼らのプライドの象徴「Supreme」まで腐すとは大人げない。
問題はバリアフリーに限らない。国交省が熟慮の上で定め、大臣名で発布し、民間の鉄道事業者が従った事柄に対して、大臣自らが不満を公言し報道される。これは勘弁していただきたい。というより、みっともないと思いませんか。
新幹線のバリアフリー対応不足問題は、19年12月に、れいわ新選組の木村英子議員が第200回国会国土交通委員会で赤羽大臣にただしていた。
木村議員は電動車椅子で生活しており、障害者福祉に関心のある層から支持を得ている。議事録を見ると、意見は「車椅子の方が優先的に(車椅子用スペースを)購入できるのは前日まで(当日は購入できない)」「介護者用として隣の座席の購入が義務付けられている」「例えば10人以上の車椅子利用者団体に対応できない」「大型電動車椅子が指定スペースをはみ出して通路を塞いでしまう」など、至極ごもっともである。
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