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リテール業界を疲弊させる46兆円の無駄をAIで解消――サントリーや日本ハムも参画(4/4 ページ)

» 2020年03月11日 08時00分 公開
[酒井真弓ITmedia]
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店舗がもうかる「売れるAIショーケース」を作る

フクシマガリレイ 専務取締役 営業本部長 福島豪氏

 冷凍冷蔵ショーケースの提供とメンテナンスを担うフクシマガリレイの福島豪氏は、「従来の鮮度管理と省エネだけではなく、店舗がもうかる”売れるAIショーケース”を作っていくという発想の転換が必要。店舗をメディア化し、活性化させる役割を担っていきたい」と語った。現状リテールAIプラットフォーム唯一のファシリティ企業として、リテールAIのインフラ構築・メンテナンスを通じて普及に努める考えだ。

 4月24日リニューアルオープンのトライアル長沼店には、AIカメラ、電子棚札、デジタルサイネージ、ビーコンを搭載したIoTデバイスなどを配備し、欠品検知、人流検知、商品検知に役立てる。さらに、それを活用した自動発注、ダイナミックプライシング、パーソナライズサイネージ広告といった仕掛けを通し、「買い物を楽しめるスーパー」を作り上げていく。

新たな実験が交差するスマートストア・トライアル

 ちなみに、トライアルの店舗でサントリー酒類と日本ハムが取り組む「AIによる棚割」、残念ながら現状では、人間が作った棚割を上回る結果が出せる状態ではないという。

 人間が作る棚割では、酒類棚ならば350ml、500ml、6缶パックをパッケージごとに並べ、消費者目線で探しやすくしようと心掛ける。一方AIは、「売れ筋の商品の中で、この商品はここに置くと良い」というところまでは出せるが、350ml、500ml、6缶パックを判別して棚割に落とし込むことまではできていない。消費者にとって買い慣れた視界的要素までを読み込ませてはいないため、規則性のない並び方になり、商品が探しにくくなってしまうのだという。

 各社が個別最適で抱え込んできたデータをオープンイノベーションによって集約し、AIに読み込ませるデータが増えれば、いつか人間の棚割を超える成果を上げることができるのだろうか。

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