卸売業からの参画となる日本アクセスの今津達也氏は、「これまで通りの役割を担うだけではなく、店舗やメーカーの利益に貢献できる卸へと差別化を図っていく必要がある」と語った。
日本アクセスは、ダイナミックプライシングを活用し、トライアルの店舗でいかに廃棄ロスを減らせるかにトライした。その結果、明らかになったのは、「廃棄ロスは想像以上に起きていない。その代わり、発注担当者が廃棄ロスを恐れて欠品を起こしている」という事実だった。欠品によるチャンスロスのほうが問題だったのだ。
そこで、同社はトライアルのAIカメラを活用したチャンスロスの分析をまさに行っているところだ。AIカメラで商品棚を撮影し、欠品を検知するとともに、棚前を通過した顧客行動を分析する。これまでのPOSデータによる分析では、売れなかった商品に関する考察が難しかった。しかし、AIカメラとPOSデータを掛け合わせると、どのくらいのチャンスロスが発生したのかが可視化される。発注精度の向上や品ぞろえの見直しなど、売り上げに貢献する施策が格段に打ちやすくなるのだ。
今津氏は、「こういったことは”机上の空論”として昔から考えられてはいたが、テクノロジーの進展によってやっと実証できるようになった。確かな成果に結び付けたい」とした。
物流からの参画となるムロオの山下俊一郎氏は、物流業界が抱える課題をリアルに語った。「労基問題、人件費の高騰、過積載、行政からの厳しい取り締まりもあり、同業他社が事業停止、営業許可申請を剥奪されるといったことが起きている。これがリアルな現状。こんな未来のない業界、辞めたほうがいいんじゃないか……そう自問自答したこともあった」という。
一企業の努力で物流業界全体の問題を解決するのは難しい。では、複数の企業、もっと大きな物量で改善したらどうか――そんな発想から、「リアイル」に参画した。同業他社、異業種を巻き込み、物流を競争領域から社会インフラとしての協調領域へ変えていくことで、疲弊の種となっていた「ムダ・ムリ・ムラ」をなくしていく。
具体的には、各社各様で運営していた物流センターをトライアルの白鳥物流センターに集約する。資産の共有によってエリア内の物流の全体最適化を図り、新たな物流プラットフォームの構築を目指す。
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