中井氏は、昨今の飲食業界について「消費増税があり厳しい中で、新型コロナウイルスのダブルパンチ。消費者の目はどんどんと『中食』へ移っている」とコメント。こうした中でも王将がうまく“カウンターパンチ”を繰り出せていることについて2つの要因を挙げた。
1つは、「従業員のモチベーション向上」だ。飲食業は、長時間労働や低賃金が珍しくない業界として数えられることもある。また、それを理由に求職者に対して「不人気」な業界として語られることも多い。しかし、中井氏は飲食業界不人気の本質的な理由を「長期的なキャリア展望の描きづらさにある」と指摘する。つまり、長く働いてもなかなかキャリアアップしづらかったり、選択肢が少なかったりする環境だということだ。
一方、王将では「王将調理道場」「王将大学」といった制度を用意することで、こうしたマイナス面をカバーしている。王将調理道場では、一定水準の腕前となるよう、従業員に対して調理技術などを指南。また、王将大学では主にマネジメントを指導。調理面と経営面の双方から、全店舗一律でスキル向上を図っている。さらに、フランチャイズでの独立支援も旺盛に行う。公式Webサイトによると、「一般加盟」と別に「社内独立制度」を用意。フランチャイズ店オーナーの半数以上が王将からの“独立組”だという。
2点目が「設備投資の充実」だ。王将は現在、日本国内に4つのセントラルキッチンを保有し、配送拠点としても運用している。そのうち、16年に竣工した東松山のキッチンには「成形餃子システム」を導入し、約600店舗分の餃子をまかなうことができると公式Webサイト上で紹介している。こうした効率化により価格競争で優位に立ち、効率化による従業員負担の軽減に成功している。
王将は17年3月期まで3年間、売上高が前期比でマイナス続きだった。苦しい時期でもこうした“足腰”への大規模な設備投資を欠かさず、しっかりと長期的な立て直しを図れている点に、カウンターパンチの秘訣がある。
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