3つ目に感じている課題は、日本企業はもっと日本のブランドにプライドを持つべきです。日本の企業は海外に進出する際に、現地の市場調査や消費者調査をすることによって、商品を現地に合わせすぎることが多々あります。その結果、その商品は日本で売っているものと違ったものになり、本物ではなくなってしまいます。
例えば、緑茶をフランスで売ろうとしたときに、「魚の匂いがする」と言われたとしましょう。外国人は緑茶のことをよく魚臭いと表現します。そこでミルクを入れて、甘さが足りないので砂糖も加える。その結果、緑茶オーレのようになります。それはそれで売れますが、本物ではありません。私はこれは間違いだと思っています。
日本人は謙虚です。日本では謙虚さは美学ですよね。しかし、海外では「日本の緑茶は素晴らしい」と言って、堂々と売った方がいい。海外のテレビコマーシャルを見たら、「こんなに素晴らしいものは世の中にない」と訴えるものばかりです。日本の本物をブランドとして売り込むことで、可能性はもっと広がるのではないでしょうか。
――日本企業が海外に進出するといえば、どちらかといえばものづくりのイメージが強かったと思います。新日本プロレスに関していえば、エンターテインメント産業であり、いわば「コト体験」を提供する企業ですよね。「コト体験」に、海外進出の可能性があるということでしょうか。
私があえてものづくりではなく、新日本プロレスの社長を引き受けたのは、日本を代表するスポーツコンテンツとしてのプロレスに、ポテンシャルを感じているからです。2020年1月に開催した東京ドームの大会では、大会のハッシュタグがTwitterの世界トレンドワードの1位を6時間も独占しました。
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