電車を止めよう――勇気を持って主張したい、3つの理由杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/6 ページ)

» 2020年04月17日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

鉄道を止める条件は「国民全員に生活費を支給」

 ただし、何も手当てせずに電車を止めたら、それこそパニックになる。クルマや自転車など、自前の移動手段を持つ者、持たざる者の格差が生まれる。だから、電車を止めるためには、前提として「通勤を止める」必要がある。自宅で業務ができる人は自宅で、どうしても会社や工場、医療現場に通勤しなくてはいけない人には、職場で食事や宿泊施設を用意して帰宅させない。しばらく我慢する分、給与で手当てしよう。

 基本的には、食料など生活必需品以外の生産、販売業務は停止。クルマの輸送業務は継続する。そうなると、これ以外の人は仕事がないから給料がもらえない。食料を買えない。電気代も水道代も払えない、という人がたくさん出てくる。鉄道を止めるとは、大変な覚悟がいる。しかし止めよう。

 そのためには、仕事ができない期間の給料を国が肩代わりする。一律の現金給付である。収入に応じて、というケチなことは言わない。金持ちだって生きていくための金は必要だ。たっぷり貯金があるとしたら、それを自分で食いつぶさせず、供出させる方法を用意したほうがいい。国債を買ってもらおう。

 国民全員に現金を給付するには、それだけの財源が必要だ。とんでもない臨時出費だから国の金庫には入ってない。だから借金をしなくてはいけない。借金をして、国民に配る。そして長期で返済していく。これなら単年度で交付金総額を返す必要はない。金利のみの負担で切り抜けられる。もっとも、国は今までそうやって赤字国債を発行し続けてきたわけだ。

秩父鉄道は4月13日から急行電車を全便運休。普通列車も減便や区間短縮を実施している

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